呻吟語 / 内篇・應務・那ぞ能く心を論ぜん
百代而下,百里而外,論人只是個耳邊紙上,並跡而誣之,那能論心?嗚呼!文士尚可輕論人乎哉?此天譴鬼責所繫,慎之!
新字:百代而下,百里而外,論人只是個耳辺紙上,並跡而誣之,那能論心?嗚呼!文士尚可軽論人乎哉?此天譴鬼責所繋,慎之!
書き下し
百代にして下、百里にして外、人を論ずるは只だ是れ個の耳邊紙上なり。跡を並べて之を誣ふ、那ぞ能く心を論ぜん。嗚呼、文士尚ほ輕々しく人を論ず可けんや。此れ天譴鬼責の繫る所なり。之を慎め。
現代語訳
百代の後、百里の外から人を論ずるのは、ただ耳に入った話と紙の上の記録によるだけです。跡を並べて言いがかりをつけるのであって、どうして心を論じられるでしょうか。ああ、文を書く者が軽々しく人を論じてよいものでしょうか。これは天の咎めと鬼の責めが掛かるところです。慎みなさい。
解説
歴史上の人物を評することの危うさを述べます。手元にあるのは伝聞と記録だけで、心は分かりません。だから跡を並べて言いがかりをつけているにすぎない、と。そして文を書く者に向けて、天の咎めが掛かると警告します。前に出てきた、世評の冤罪には再審が無いという段と同じ主題が、歴史記述の場面で繰り返されています。
この章句が説くこと
人物評歴史伝聞心慎み
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