呻吟語 / 内篇・應務・時を識るは易く、勢を識るは難し
明義理易,識時勢難;明義理腐儒可能,識時勢非通儒不能也。識時易,識勢難;識時見者可能,識勢非蚤見者不能也。
書き下し
義理に明らかなるは易く、時勢を識るは難し。義理に明らかなるは腐儒も能くす可し、時勢を識るは通儒に非ざれば能はざるなり。時を識るは易く、勢を識るは難し。時を識るは見る者も能くす可し、勢を識るは蚤く見る者に非ざれば能はざるなり。
現代語訳
義理に明らかであることは易しく、時勢を知ることは難しい。義理に明らかであることはかび臭い儒者にもできますが、時勢を知ることは通じた儒者でなければできません。時を知ることは易しく、勢いを知ることは難しい。時を知ることは見える者にもできますが、勢いを知ることは早く見る者でなければできません。
解説
難易を二段階でさかのぼります。義理より時勢が難しく、時より勢いが難しい。そして最後に、勢いを知るには早く見る力が要るとされます。今どうなっているかは誰でも見えるが、どちらへ向かっているかは兆しの段で掴むしかないからです。知識と洞察の差が、はっきり段づけられた一段になっています。知識と洞察の差が、はっきり段づけられた一段です。
この章句が説くこと
義理時勢勢兆し段階