呻吟語 / 内篇・應務・常に自ら惺惺爽覺たり
惟憂勤惕勵之君子,常自惺惺爽覺。
新字:惟憂勤惕勵之君子,常自惺惺爽覚。
書き下し
惟だ憂勤惕勵の君子のみ、常に自ら惺惺爽覺たり。
現代語訳
ただ憂え勤め恐れ励む君子だけが、常に自ら冴えてはっきりと目覚めています。
解説
前の段の酔った夢と対になる一行です。目覚めていられるのは、憂え勤め恐れ励む者だけ。楽しさや意欲ではなく、憂いと恐れが覚醒を支えるとされているのが特徴です。前に出てきた、憂えるから勤め恐れるから励むという段と同じ立場で、こちらは覚醒という状態の側から述べられています。二段で一組の構成です。憂いと恐れが覚醒を支えると、されているのが特徴です。
この章句が説くこと
覚醒憂勤惕励恐れ対比
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・修身・渴睡漢に似るを怕る人と作りて渴睡漢に似るを怕る。才かに喚び醒ます時は眼を睜きて知る有るが若きも、旋た復た沉困す。竟に是れ寐中の人なり。須らく朝に興きて櫛盥の後、神爽やかに氣清く、冷冷勁勁たるが如くにして、方に是れ真の醒なり。
-
『呻吟語』内篇・修身・惟だ憂ふる故に勤め、惟だ惕る故に勵む恒言に「疏懶勤謹」、此の四字は每に相因る。懶は疏を生じ、謹は自ら勤む。聖賢の身は豈に生まれながらにして逸を惡み勞を好まんや。天下皆な惰慢なれば則ち百務廢弛して亂亡之に隨ふを知ればなり。先正云ふ、古の聖賢は未だ嘗て怠惰荒寧を以て懼れと為し、勤勵して息まず自ら強めずんばあらず、と。惟だ憂ふる故に勤め、惟だ惕る故に勵む。
-
『呻吟語』内篇・修身・勤勵故に精明、惰慢故に昏蔽古の人は勤勵し、今の人は惰慢なり。勤勵すれば故に精明にして、德日に修まる。惰慢なれば故に昏蔽して、欲日に肆なり。是を以て聖人は憂勤惕勵を貴ぶ。
-
『呻吟語』内篇・應務・一たび衰歇すれば便ち振舉し難し天下の事は常に鼓舞すれば罷勞を見ず。一たび衰歇すれば便ち振舉し難し。是を以て君子は精神を提醒して昏眩ならしめず、筋骨を役使して怠惰ならしめず。振舉の難きを懼るればなり。
-
『呻吟語』内篇・存心・君子は意を得て憂へ、喜に逢ひて懼る殃咎の來たる、未だ心を快くするに始まらざる者有らず。故に君子は意を得て憂へ、喜に逢ひて懼る。
-
『呻吟語』内篇・存心・此の心は常に適せんことを要す此の心は常に適せんことを要す。憂勤惕勵の中、困窮抑鬱の際なりと雖も、也た這般の胸次有らんことを要す。