呻吟語 / 内篇・應務・人をして過ち有らしめざれ
不要使人有過。
書き下し
人をして過ち有らしむるを要せざれ。
現代語訳
人に過ちを作らせてはいけません。
解説
わずか八字ほどの一段です。人の過ちを責めるなではなく、そもそも過ちが生じる場を作るなと言っています。前の段で忠告が逆効果になる様子を描いた後に置かれているので、人が失言したり恥をかいたりする状況を先に消しておけという意味に読めます。前に出てきた、恥じている人に逃げ道を作った記録とも重なる一段です。人が失言したり恥をかいたりする状況を、先に消しておけということでしょう。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
予防過ち場配慮責めない
関連する章句
-
『大和俗訓』巻之六・躬行上一顔子は過をまたせず。言ふこころは、一度あやまちと知れることは、ふたたび行はず。又顔子は、不善あれば未だ嘗て知らずんばあらず、之を知れば未だ嘗て復た行はずと、易に見えたり。いふ意は、わが身に過あれば必知る。是知ることの明なるなり。過を知れば、必行はず。是行ふことのつよきなり。
-
『大和俗訓』巻之五・言語一あやまちを恥ぢて、いつはり飾るべからず。是心をあざむき、人をあざむくなり。既にわが過あらんは、すべきやうなし。あやまらば直に言ひあらはすべし。隠していつはり飾るべからず。あやまりて又人をあざむくは、あやまりを重ぬるなり。いよいよ罪深くなる。
-
『呻吟語』内篇・修身・一個の真小人を成就す過ちや、人皆な之を見る、乃ち君子を見る。今人過ちの見る可き無し、豈に能く君子より賢ならんや。緣は只だ文飾彌縫の上に在りて工夫を做し、無限の巧回護を費やし盡くして、一個の真小人を成就するに在り。
-
『呻吟語』外篇・治道・人をして心服せしむ上に在る者は過ち無く、下に在る者は過ち多し。上に在る者の過ち無きに非ず、過ち有りて人敢へて言ふ莫きなり。下に在る者は過ち多きに非ず、之を誣ひて人敢へて辯ずる莫きなり。夫れ惟だ人をして言ふに心無からしめて、然る後に上たる者は真に過ち無し。人をして心服せしめて、而る後に下たる者は真に過ち多きなり。
-
『大和俗訓』巻之八・応接一明月の玉にも、瑕なきことあたはず。過なき人、なんぞ今の世にあらんや。今の人、人の小過あるを見て、其人を賤み、すこし短なる所あれば、長ずる所あれど、言ひおとし、すてて取用ひず。おろかなるかな。聖人は過なし。聖人を以て人を望まば、世に人なかるべし。人の過を責めて、我が過を知らざるは、愚なるかな。是我が身をかへりみざればなり。もし我をかへりみば、我が身にも過おほかるべし。我が身をかへりみて、我が過を責めば、人の過を咎むるには、いとまなかるべし。我が田の草のおほきをば、其ままおきて取らず、人の田をくさぎるに、古人もたとへたり。
-
尉繚子・兵教下太上は過ち無く、其の次は過ちを補う。