呻吟語 / 内篇・應務・惟だ順境に處するを難しと為す
富貴,家之災也;才能,身之殃也;聲名,謗之媒也;歡樂,悲之藉也。故惟處順境為難。只是常有懼心,遲一步做,則免於禍。
新字:富貴,家之災也;才能,身之殃也;声名,謗之媒也;歓楽,悲之藉也。故惟処順境為難。只是常有懼心,遅一歩做,則免於禍。
書き下し
富貴は、家の災なり。才能は、身の殃なり。聲名は、謗の媒なり。歡樂は、悲の藉なり。故に惟だ順境に處するを難しと為す。只だ是れ常に懼心有りて、一步を遲らせて做さば、則ち禍を免る。
現代語訳
富と地位は家の災いです。才能は身の禍です。名声は誹りの仲立ちです。歓楽は悲しみの土台です。だから、ただ順境に処することこそ難しいのです。常に恐れる心を持ち、一歩遅らせて行えば、禍を免れます。
解説
望ましいもの四つを、すべて災いの名で呼びます。富貴、才能、名声、歓楽。そして結論が意外で、逆境ではなく順境に処するのが難しいとされます。逆境は誰でも身構えますが、順境では気が緩むからです。そして処方はごく具体的で、一歩遅らせる。恐れながら速度を落とすという、実行しやすい形で示されています。逆境は身構えられるが、順境では気が緩むからです。
この章句が説くこと
順境富貴才能名声遅らせる
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