呻吟語 / 内篇・應務・吞吐者は半明半暗
某平生只欲開口見心,不解作吞吐語。或曰:「恐非其難其慎之義。」予矍然驚謝曰:「公言甚是。但其難其慎在未言之前,心中擇個是字才脫口,更不復疑,何吞吐之有?吞吐者,半明半暗,似於開成心三字礙。」
新字:某平生只欲開口見心,不解作吞吐語。或曰:「恐非其難其慎之義。」予矍然驚謝曰:「公言甚是。但其難其慎在未言之前,心中択個是字才脫口,更不復疑,何吞吐之有?吞吐者,半明半暗,似於開成心三字礙。」
書き下し
某平生只だ口を開けば心を見るを欲し、吞吐の語を作すを解せず。或るひと曰く、「恐らくは其れ難く其れ慎むの義に非ず」と。予矍然として驚き謝して曰く、「公の言甚だ是なり。但だ其れ難く其れ慎むは未だ言はざるの前に在り。心中に個の是の字を擇びて才かに口を脫すれば、更に復た疑はず。何の吞吐か之れ有らん。吞吐なる者は、半明半暗、開成の心の三字に礙ぐに似たり」と。
現代語訳
私は生涯、口を開けば心が見えるようでありたいと思い、言い淀む言い方ができません。ある人が言いました。それは難しく慎むという意味に反するのではありませんか。私ははっと驚いて詫びて言いました。あなたの言葉はまことに正しい。ただ、難しく慎むのは口を開く前のことです。心の中で正しいという字を選び出してから口を離れれば、その後はもう疑いません。どこに言い淀む余地があるでしょうか。言い淀むとは半分明るく半分暗いことで、心を開いて誠を示すという三字に引っかかります。
解説
率直すぎると諫められ、まず相手を正しいと認めてから自分の立場を説明します。慎むのは口に出す前であって、出した後ではない。選び終えた言葉に淀みは要らないという理屈です。そして言い淀みを、半分明るく半分暗い状態だと定義します。慎重さと曖昧さを切り分けた一段で、自分の流儀を弁明する形になっています。慎重さと曖昧さを、切り分けた一段になっています。
この章句が説くこと
率直言い淀み慎重曖昧開誠
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