呻吟語 / 内篇・應務・癰を決するは其の將に潰れんとするを待つ
天下事要乘勢待時,譬之決癰待其將潰,則病者不苦而癰自愈,若虺蝮毒人,雖即砭手斷臂,猶遲也。
新字:天下事要乗勢待時,譬之決癰待其将潰,則病者不苦而癰自愈,若虺蝮毒人,雖即砭手断臂,猶遅也。
書き下し
天下の事は勢に乘じ時を待つを要す。之を譬ふれば癰を決するに其の將に潰れんとするを待たば、則ち病む者苦しまずして癰自ら愈ゆ。若し虺蝮人を毒せば、即ち手を砭り臂を斷つと雖も、猶ほ遲きなり。
現代語訳
天下の事は勢いに乗り時を待つ必要があります。たとえれば腫れ物を切るのに、破れかけるのを待てば、病む者は苦しまず腫れ物は自ずと癒えます。しかし毒蛇に噛まれたなら、すぐ手を切り腕を断っても、なお遅いのです。
解説
待つべき場合と急ぐべき場合を、二つの病でたとえます。腫れ物は熟すまで待てば痛まずに治り、毒蛇は即座に腕を落としても間に合わない。同じ体の異変でも、対応の速さが正反対になります。だからまず、どちらの型かを見分けることが先になる。前に出てきた、ひそかに育つ禍と突発する禍という分類と同じ構図で、医療の像で示された一段です。
この章句が説くこと
待つ急ぐ見分け時機病
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