呻吟語 / 内篇・應務・方嚴は人に處するの大病痛
方嚴是處人大病痛。聖賢處世離一溫厚不得,故曰泛愛眾,曰和而不同,曰和而不流,曰群而不黨,曰周而不比,曰愛人,曰慈樣,曰豈弟,曰樂只,曰親民,曰容眾,曰萬物一體,曰天下一家,中國一人。只恁踽踽涼涼冷落難親,便是世上一個礙物。即使持正守方,獨立不苟,亦非用世之才,只是一節狷介之土耳。
新字:方厳是処人大病痛。聖賢処世離一温厚不得,故曰泛愛眾,曰和而不同,曰和而不流,曰群而不党,曰周而不比,曰愛人,曰慈様,曰豈弟,曰楽只,曰親民,曰容眾,曰万物一体,曰天下一家,中国一人。只恁踽踽涼涼冷落難親,便是世上一個礙物。即使持正守方,独立不苟,亦非用世之才,只是一節狷介之土耳。
書き下し
方嚴は是れ人に處するの大病痛なり。聖賢の世に處するは一の溫厚を離れ得ず。故に泛く眾を愛すと曰ひ、和して同ぜずと曰ひ、和して流れずと曰ひ、群して黨せずと曰ひ、周して比せずと曰ひ、人を愛すと曰ひ、慈樣と曰ひ、豈弟と曰ひ、萬物一體と曰ひ、天下一家、中國一人と曰ふ。只だ恁く踽踽涼涼として冷落親しみ難きは、便ち是れ世上の一の礙物なり。即使ひ正を持し方を守り、獨立して苟せざるも、亦た世に用ふるの才に非ず。只だ是れ一節の狷介の士なるのみ。
現代語訳
角張って厳しいのは、人と接する上での大きな病です。聖賢が世に処するには、温かく厚いことを離れられません。だから広く衆を愛すと言い、和して同ぜずと言い、和して流れずと言い、群れて党せずと言い、あまねくして比せずと言い、人を愛すと言い、慈しみ深いと言い、和やかだと言い、楽しげだと言い、民に親しむと言い、衆を容れると言い、万物一体と言い、天下一家、中国一人と言うのです。ただ孤独に冷たく、親しみにくいのは、世の中の邪魔物です。たとえ正を持ち方を守り、独り立って間に合わせをしないとしても、世に用いられる才ではありません。ただ一つの節を守る狷介の士にすぎません。
解説
厳格さを、徳ではなく病として扱います。そして温厚を表す古典の言葉を十以上並べ、聖賢の側に温かさがあることを示します。そのうえで、潔癖に独り立つ人を邪魔物と呼び、世に用いられる才ではないと切り捨てます。正しさだけでは足りず、温かさが無ければ人の中で働けないという、應務篇らしい結論です。温かさが無ければ、人の中で働けないという結論です。
この章句が説くこと
厳格温厚孤高狷介用いられる
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