呻吟語 / 内篇・應務・任事敢言を性氣と為す
當言,則終日不虛口,不害其為默;當刑,則不宥小故,不害其為量。今之人,士大夫以寬厚渾涵為盛德,以任事敢言為性氣,銷磨憂國濟時者之志,使之就文法,走俗狀,而一無所展布。
新字:当言,則終日不虚口,不害其為黙;当刑,則不宥小故,不害其為量。今之人,士大夫以寛厚渾涵為盛徳,以任事敢言為性気,銷磨憂国済時者之志,使之就文法,走俗状,而一無所展布。
書き下し
當に言ふべくんば、則ち終日口を虛しくせざるも、其の默爲るを害せず。當に刑すべくんば、則ち小故を宥さざるも、其の量爲るを害せず。今の人は、士大夫は寬厚渾涵を以て盛德と為し、任事敢言を以て性氣と為す。憂國濟時者の志を銷磨し、之をして文法に就き、俗狀に走りて、一も展布する所無からしむ。
現代語訳
言うべきであれば、一日中口を休めなくても、それが寡黙であることを損ないません。罰すべきであれば、小さな過失を許さなくても、それが度量であることを損ないません。今の人は、士大夫が寛やかで厚く包み込むことを盛んな徳とし、事を引き受け敢えて言うことを気性の荒さとします。国を憂え時代を救おうとする者の志をすり減らし、条文に従い世間の型に走らせて、何一つ広げさせません。
解説
寡黙と度量の定義を、行いの量から切り離します。言うべき時に話し続けても寡黙であり、罰すべき時に許さなくても度量がある。そのうえで、包容を徳とし発言を気性の荒さとする風潮を批判します。志ある者がすり減らされる仕組みが描かれており、穏やかさが無為の隠れ蓑になることへの警告になっています。穏やかさが無為の隠れ蓑になることへの、警告になっています。
この章句が説くこと
寡黙度量包容発言風潮
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