呻吟語 / 内篇・應務・爭ふ者は、兩小人なり
爭者,兩小人也。有識者奈何自處於小人?即得之未必榮,而況無益於得以博小人之名,又小人而愚者。
新字:争者,両小人也。有識者奈何自処於小人?即得之未必栄,而況無益於得以博小人之名,又小人而愚者。
書き下し
爭ふ者は、兩小人なり。識有る者は奈何ぞ自ら小人に處せんや。即ち之を得るも未だ必ずしも榮ならず。而るに況んや得るに益無くして以て小人の名を博するをや。又た小人にして愚なる者なり。
現代語訳
争っているのは、二人とも小人です。見識のある者が、どうして自分から小人の側に身を置くでしょうか。たとえ勝ちを得ても、必ずしも栄誉にはなりません。まして得るものも無いのに小人の名を得るなら、なおさらです。しかもそれは小人であって、なお愚かな者です。
解説
前の段を受けて、争いが起きている時点で両方が小人だと断じます。そして損得の勘定を加えます。勝っても栄誉にならず、得るものが無ければ小人の名だけが残る。最後に、小人のうえに愚かだとまで言います。争いを、正しさの問題から身分と損得の問題へ移し替えることで、争う気を削ぐ一段です。争いを、正しさの問題から損得の問題へ移し替えています。
この章句が説くこと
争い小人損得名愚
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