呻吟語 / 内篇・應務・見先づ定まればなり
昧者知其一。不知其二,見其所見而不見其所不見,故於事鮮克有濟。惟智者能柔能剛,能圓能方,能存能亡,能顯能藏,舉世懼且疑,而彼確然為之,卒如所料者,見先定也。
新字:昧者知其一。不知其二,見其所見而不見其所不見,故於事鮮克有済。惟智者能柔能剛,能円能方,能存能亡,能顕能蔵,舉世懼且疑,而彼確然為之,卒如所料者,見先定也。
書き下し
昧き者は其の一を知りて、其の二を知らず。其の見る所を見て其の見ざる所を見ず。故に事に於て克く濟す有ること鮮し。惟だ智者のみ能く柔に能く剛に、能く圓に能く方に、能く存し能く亡し、能く顯はれ能く藏る。舉世懼れ且つ疑ふも、彼確然として之を為し、卒に料る所の如き者は、見先づ定まればなり。
現代語訳
暗い者は一つを知って二つを知らず、見えるものを見て見えないものを見ません。だから事を成し遂げられることが稀です。ただ智者だけが、柔らかくも剛くもでき、円くも方くもでき、保つことも捨てることもでき、現れることも隠れることもできます。世を挙げて恐れ疑っても、彼は確然としてそれを行い、結局は予測した通りになる。見通しが先に定まっているからです。
解説
暗い者と智者を、見える範囲と可変性の二点で比べます。暗い者は見える一面だけを見て動けず、智者は四組の正反対の性質を自在に使い分けます。そして世が疑っても動じない理由が、最後に一言で示されます。見通しが先に定まっているから。確信の根拠を、性格ではなく予測に置いた一段です。確信の根拠を、性格ではなく予測に置いた一段です。
この章句が説くこと
智者可変見通し確信視野
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