呻吟語 / 内篇・應務・眾人は其の一を知り、君子は其の他を知る
事必要其所終,慮必防其所至。若見眼前快意便了,此最無識,故事有當怒,而君子不怒;當喜,而君子不喜;當為,而君子不為,當已,而君子不已者,眾人知其一,君子知其他也。
新字:事必要其所終,慮必防其所至。若見眼前快意便了,此最無識,故事有当怒,而君子不怒;当喜,而君子不喜;当為,而君子不為,当已,而君子不已者,眾人知其一,君子知其他也。
書き下し
事は必ず其の終はる所を要し、慮は必ず其の至る所を防ぐ。若し眼前の快意を見て便ち了はらば、此れ最も識無し。故に事に當に怒るべくして、君子は怒らざる有り。當に喜ぶべくして、君子は喜ばざる有り。當に為すべくして、君子は為さざる有り。當に已むべくして、君子は已まざる有り。眾人は其の一を知り、君子は其の他を知ればなり。
現代語訳
事は必ず終わるところまで見定め、思慮は必ず行き着く先を防ぎます。もし目の前の快さだけを見て済ませるなら、それが最も見識がありません。だから怒るべき場面で君子が怒らないことがあり、喜ぶべき場面で喜ばないことがあり、なすべき場面でなさないことがあり、やめるべき場面でやめないことがあります。大勢の人は一つだけを知り、君子はその先を知っているからです。
解説
君子の反応が世間とずれる理由を説明します。怒るべき時に怒らないのは鈍いのではなく、先が見えているからだ、と。四つの例が挙げられ、いずれも常識と逆になります。そして最後の一句が全体をまとめます。大勢は一つを知り、君子は他を知る。ずれを、感覚の違いではなく視野の差として説明した一段です。ずれを、感覚ではなく視野の差として説明しています。
この章句が説くこと
視野反応先見常識ずれ
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