呻吟語 / 内篇・應務・最も是れ拙工
分明不動聲色,濟之有餘,卻露許多痕跡,費許大張皇,最是拙工。
新字:分明不動声色,済之有余,却露許多痕跡,費許大張皇,最是拙工。
書き下し
分明に聲色を動かさずして、之を濟すに餘り有り。卻って許多の痕跡を露はし、許大の張皇を費やすは、最も是れ拙工なり。
現代語訳
はっきりと声色を動かさずに、余裕をもって済ませられるのに、多くの痕跡を残し、大げさに騒ぎ立てる。これが最も下手な仕事です。
解説
仕事の巧拙を、成果ではなく残した痕跡と騒ぎの量で測ります。静かに済むはずのものを、わざわざ大ごとにする。当人は熱心に働いているつもりですが、それが下手の証拠だというのです。有能さを、目立つ働きぶりで判断する目を覆した一段で、済んだのに誰も気づかない仕事が最上ということになります。済んだのに誰も気づかない仕事が、最上ということになります。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
巧拙痕跡静か大げさ成果
関連する章句
-
『韓非子』詭使第四十五民力を尽くし、下の死を易ふる所以なり、今戦勝攻取の士は労して賞霑はず、而して卜筮・視手理・狐蠱にして前に順辞を為す者は日に賜はる。
-
『学問のすゝめ』十六編・心事と働きと相当すべきの論・功に食ましめて志に食ましめず言行齟齬するとは、議論に言うところと実地に行なうところと一様ならずということなり。「功に食ましめて志に食ましめず」とは、「実地の仕事次第によりてこそ物をも与うべけれ、その心になんと思うとも形もなき人の心事をば賞すべからず」との義なり。また俗間に、「某の説はともかくも、元来働きのなき人物なり」とてこれを軽蔑することあり。いずれも議論と実業と相当せざるを咎めたるものならん。
-
『墨子』尚同中曰く、其の正長為ること此くの若し。是の故に出でて誅して勝つ者は、何の故を以てするや。曰く、唯だ尚同を以て政を為す者なり。故に古者、聖王の政を為すこと此くの若し。今、天下の人曰く、「方今の時、天鬼の福、得可きなり。萬民の便利する所にして能く彊めて焉に從事すれば、則ち萬民の親、得可きなり。其の政を為すこと此くの若し。是を以て事を謀り事を舉ぐれば成り、入りて守れば固し。上なる者は天鬼、其の政長為るに厚きこと有り、下なる者は萬民、其の政長為るに便利なること有り」と。天鬼の深く厚くする所にして、彊めて焉に從事すれば、則ち天下の正長、猶お未だ天下に廢せられざるなり。而るに天下の亂るる所以の者は、何の故を以てするや。
-
人物志・八觀多易は能に似て効無く、進鋭は精に似て去ること速やかに、訶者は察に似て事煩はしく、訐施は恵に似て成る無し、
-
『韓非子』八經第四十八有道の主は言を聽きて、其の用を督し、其の功を課し、功課して賞罰生ず、故に無用の辯朝に留まらず。
-
孫子・用間篇生間とは、反りて報ずる者なり。