呻吟語 / 内篇・應務・期限を以て自ら寬くする無かれ
干天下事無以期限自寬。事有不測,時有不給,常有餘於期限之內,有多少受用處!
新字:干天下事無以期限自寛。事有不測,時有不給,常有余於期限之内,有多少受用処!
書き下し
天下の事を干すに、期限を以て自ら寬くする無かれ。事に不測有り、時に不給有り。常に期限の內に餘り有らば、多少の受用の處か有らん。
現代語訳
天下の事をなすのに、期限があるからと自分を緩めてはいけません。事には思いがけないことがあり、時には間に合わないことがあります。いつも期限の内側に余りを持っていれば、どれほど使いどころがあることでしょう。
解説
期限を、余裕ではなく上限として扱えという話です。期限まで時間があるからと緩めれば、想定外の事に対応できません。逆に期限の内側に余りを作っておけば、その余りが使える。時間の余りを、貯金のように扱う発想です。実務の段取りとして、今そのまま使える具体的な助言になっています。時間の余りを、貯金のように扱う発想になっています。実務の段取りとして、今そのまま使える助言です。
この章句が説くこと
期限余裕段取り想定外時間
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・應務・豫と裕天下の事に處するに、前面に常に一分を長出するは、此れを之れ豫と謂ふ。後面に常に一分を餘出するは、此れを之れ裕と謂ふ。此の如くんば則ち事濟らざる無くして、心に餘樂有り。若し分數を扣殺して做し去らば、必ず後悔の處有り。人も亦た然り。我に餘り有るの恩を施せば、則ち以て德を廣む可し。人に盡きざるの情を留むれば、則ち以て好を全うす可し。
-
『呻吟語』内篇・應務・手段は太だ闊なる可からず手段は太だ闊なる可からず。太だ闊なれば則ち填塞して完し難し。頭緒は太だ繁なる可からず。太だ繁なれば則ち照管到らず。
-
『呻吟語』内篇・應務・久しき時と得る時と相鄰る需つに當たりては久しきを厭ふ莫かれ。久しき時と得る時と相鄰る。若し其の久しきを憤りて之を決絕せば、是れ斯須に忍ぶ能はずして、前勞を甘棄し、後得を坐失するなり。此れ事に從ふ者の大戒なり。若し事體を看得ること審らかならば、便ち必ずしも需たず。即ち之を需つこと久しくとも、亦た當に速やかに去るべし。
-
『呻吟語』内篇・應務・己を約して人を豐かにす規模は先づ個の闊大なるを要し、意思は先づ個の安閑なるを要す。古の人は己を約して人を豐かにす。故に群下樂しみて之が用と為り、而して得る所常に倍す。徐ろに思ひて審らかに處す。故に己勞せずして事極めて精詳なり。褊急の二字は、世に處するの大礙なり。
-
『呻吟語』内篇・應務・閒暇に心を留めず閒暇の時に心を留めて成らざれば、倉卒の時に手を措くを得ず。胡亂に支吾して、其の成敗に任せ、或いは悔い或いは悔いず、事過ぎて後依然として昨の如し。世の人此の如き者は、百人にして百なり。
-
『呻吟語』内篇・應務・想ひ得る時切に緩やかにする莫かれ事手に到れば且く急ぐ莫かれ。便ち緩緩と想ふを要す。想ひ得る時切に緩やかにする莫かれ。便ち急急に行ふを要す。