呻吟語 / 内篇・應務・紆徐柔和なる者は多く長し
天下之物紆徐柔和者多長,迫切躁急者多短。故烈風驟雨無祟朝之威,暴漲狂瀾無三日之勢,催拍促調非百板之聲,疾策緊銜非千里之轡。人生壽夭禍福無一不然,褊急者可以思矣。
新字:天下之物紆徐柔和者多長,迫切躁急者多短。故烈風驟雨無祟朝之威,暴漲狂瀾無三日之勢,催拍促調非百板之声,疾策緊銜非千里之轡。人生寿夭禍福無一不然,褊急者可以思矣。
書き下し
天下の物、紆徐柔和なる者は多く長く、迫切躁急なる者は多く短し。故に烈風驟雨に崇朝の威無く、暴漲狂瀾に三日の勢無く、催拍促調は百板の聲に非ず、疾策緊銜は千里の轡に非ず。人生の壽夭禍福も一として然らざる無し。褊急なる者は以て思ふ可し。
現代語訳
天下の物で、ゆったり柔らかいものは長く続き、差し迫って急なものは短く終わります。だから烈しい風や激しい雨は朝の間も威を保てず、あふれる激流も三日と勢いが続かず、急かすような拍子は長い曲にならず、鞭を打ち轡を締めて走らせるのは千里を行く手綱ではありません。人の寿命も禍福も、一つとしてこれに外れません。心が狭くせっかちな人は、考えてみるべきです。
解説
速さと持続の反比例を、四つの例で示します。烈風、激流、急な拍子、鞭を打つ走り。どれも一時は強いが続かない。そして人の寿命や禍福まで同じ理に従うと広げます。せっかちな人に向けた最後の一句が静かで、責めるのではなく考えてみよと促すだけです。老子以来の主題を、実例で塗り固めた一段になっています。責めるのではなく、考えてみよと促すだけの結びです。
この章句が説くこと
緩急持続柔和性急寿命
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