呻吟語 / 内篇・應務・賢者の束縛する所を聖人は融かす
眾人之所混同,賢者執之;賢者之所束縛,聖人融之。
書き下し
眾人の混同する所は、賢者之を執る。賢者の束縛する所は、聖人之を融かす。
現代語訳
大勢が混ぜこぜにしているところを、賢者は握って区別します。賢者が縛りつけているところを、聖人は溶かします。
解説
三段の進み方を、二十字ほどで示します。大衆は区別せず、賢者は区別して握り、聖人はその区別を溶かす。区別しない段と、区別を超えた段は、外から見れば似ていますが中身が正反対です。賢者の段を通らずに聖人の段には行けないという含みもあり、握ってから溶かすという順序が示されています。握ってから溶かすという順序が、ここで示されています。
この章句が説くこと
区別段階賢者聖人順序
関連する章句
-
呂氏春秋・贊能①賢者は人に善くするに人を以てし、中人は事を以てし、不肖者は財を以てす。十の良馬を得るは、一の伯樂を得るに若かず。十の良劍を得るは、一の歐冶を得るに若かず。地千里を得るは、一の聖人を得るに若かず。舜、皋陶を得て、舜、之を受く。湯、伊尹を得て夏民を有ち、文王、呂望を得て殷商を服す。夫れ聖人を得れば、豈に里數有らんや。
-
『墨子』尚同中又た其の鄉の萬民を率いて以て國君に尚同して曰く、「凡そ鄉の萬民は、皆な國君に上同して、敢えて下に比せざれ。國君の是とする所は必ず亦た之を是とし、國君の非とする所は必ず亦た之を非とせよ。而の不善の言を去りて、國君の善言を學び、而の不善の行を去りて、國君の善行を學べ」と。國君は固より國の賢者なり。國人を舉げて以て國君に法らしむ。夫れ國、何の説あってか治まらざらんや。國君の國を治めて國治まる所以の者を察するに、何の故を以てするか。曰く、唯だ其の能く其の國の義を一同するを以てなり。是を以て國治まる。
-
孫子・九変篇是の故に智者の慮は、必ず利害に雑う。利に雑えて務め信なる可きなり。害に雑えて患い解く可きなり。
-
呂氏春秋・先識①凡そ國の亡ぶるや、有道なる者必ず先づ去るは、古今一なり。地は城に從い、城は民に從い、民は賢に從う。故に賢主は賢者を得て民得られ、民得られて城得られ、城得られて地得らる。夫れ地得らるるとは、豈に必ずしも足其の地に行きて、人ごとに其の民に説かんや。其の要を得るのみ。
-
呂氏春秋・長利④愚庳の民、其の賢者の慮を為すも、亦た猶ほ此のごときなり。固より妄りに誹訾す。豈に悲しからずや。」
-
『呻吟語』内篇・問學・聖人の道は平、賢者の道は峻萬仞崚嶒として人を呼ぶに登るを以てすれば、登る者必ず少なし。故に聖人の道は平らかにして、賢者の道は峻し。穴隙迫窄として人を招くに入るを以てすれば、入る者必ず少なし。故に聖人の道は博くして、賢者の道は狹し。