呂氏春秋 / 先識①
凡國之亡也,有道者必先去,古今一也。地從於城,城從於民,民從於賢。故賢主得賢者而民得,民得而城得,城得而地得。夫地得豈必足行其地、人說其民哉?得其要而已矣。
新字:凡国之亡也,有道者必先去,古今一也。地従於城,城従於民,民従於賢。故賢主得賢者而民得,民得而城得,城得而地得。夫地得豈必足行其地、人説其民哉?得其要而已矣。
書き下し
凡そ國の亡ぶるや、有道なる者必ず先づ去るは、古今一なり。地は城に從い、城は民に從い、民は賢に從う。故に賢主は賢者を得て民得られ、民得られて城得られ、城得られて地得らる。夫れ地得らるるとは、豈に必ずしも足其の地に行きて、人ごとに其の民に説かんや。其の要を得るのみ。
現代語訳
およそ国が滅びるときには、道を体得した者が必ず先に去っていく。これは古今変わらぬ道理である。土地は城に従い、城は民に従い、民は賢者に従う。だから賢明な君主は賢者を得ることで民を得、民を得ることで城を得、城を得ることで土地を得る。土地を得るとは、必ずしも自分の足でその土地を歩き回り、民一人ひとりに説いて回ることではない。ただその要点(賢者を得ること)をつかめばよいのである。
解説
国家存亡の要は、土地でも城でもなく、まず賢者を得ることにあると説く総論です。賢者から民、民から城、城から地へと従属する関係を示し、有道の士が先に去ることは滅亡の予兆だとします。物事の根本である要点をつかめば、細部を一つひとつ動かさずとも全体がおのずと動くという発想です。現代の組織運営でも、優れた人材を確保することが顧客や資産を得る前提になります。末端の管理に追われるより、人という要を押さえることが持続の鍵だという指摘は、経営や人事の考え方にそのまま通じるものです。
この章句が説くこと
先識賢者要を得る民本国家存亡人材
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