呻吟語 / 内篇・應務・五つの爭はざるの味
余行年五十,悟得五不爭之味。人問之。曰:「不與居積人爭富,不與進取人爭貴,不與矜飾人爭名,不與簡傲人爭禮,不與盛氣人爭是非。」
新字:余行年五十,悟得五不争之味。人問之。曰:「不与居積人争富,不与進取人争貴,不与矜飾人争名,不与簡傲人争礼,不与盛気人争是非。」
書き下し
余行年五十、五つの爭はざるの味を悟り得たり。人之を問ふ。曰く、「居積の人と富を爭はず、進取の人と貴を爭はず、矜飾の人と名を爭はず、簡傲の人と禮を爭はず、盛氣の人と是非を爭はず」と。
現代語訳
私は五十になって、五つの争わない味わいを悟りました。人がそれを尋ねました。答えて言う。蓄えを積む人と富を争わず、出世を求める人と地位を争わず、飾り立てる人と名を争わず、無礼な人と礼を争わず、気の盛んな人と是非を争わない。
解説
争わない相手を五つ挙げます。共通しているのは、相手がそれに最も執着しているという点です。富に執着する人と富を争えば消耗するだけで、勝っても得るものが少ない。とくに最後の二つが実際的で、無礼な人に礼を説かず、気の立った人と正誤を論じない。五十年かけて悟ったという前置きが、この五つの重みを支えています。
この章句が説くこと
不争五十消耗執着処世
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