呻吟語 / 内篇・問學・好惡同じければ四海皆な骨肉
人情只是個好惡,立身要在端好惡,治人要在同好惡。故好惡異,夫妻、父子、兄弟皆寇仇;好惡同,四海、九夷、八蠻皆骨肉。
新字:人情只是個好悪,立身要在端好悪,治人要在同好悪。故好悪異,夫妻、父子、兄弟皆寇仇;好悪同,四海、九夷、八蠻皆骨肉。
書き下し
人情は只だ是れ個の好惡なり。身を立つるは好惡を端しくするに在るを要し、人を治むるは好惡を同じくするに在るを要す。故に好惡異なれば、夫妻・父子・兄弟も皆な寇仇なり。好惡同じければ、四海・九夷・八蠻も皆な骨肉なり。
現代語訳
人の情はただ好き嫌いです。身を立てるには好き嫌いを正しくすることが要り、人を治めるには好き嫌いを同じくすることが要ります。だから好き嫌いが違えば、夫婦も親子も兄弟もみな仇敵になります。好き嫌いが同じなら、四方の海の内も異国の民もみな肉親になります。
解説
人間関係の遠近を、血縁でも距離でもなく好悪の一致で決めます。好悪が違えば親子でも仇になり、同じなら異国の民でも肉親になる。極端な言い方ですが、実感としては頷けます。そして立身には好悪を正すこと、治には好悪を合わせることと、役割が分けられています。組織の一体感がどこから生まれるかを言い当てた一段です。
この章句が説くこと
好悪一致関係治仇
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