呻吟語 / 内篇・倫理・隔の一字は、人情の大患なり
「隔」之一字,人情之大患。故君臣、父子、夫婦、朋友、上下之交,務去隔,此字不去而不怨叛者,未之有也。
書き下し
「隔」の一字は、人情の大患なり。故に君臣・父子・夫婦・朋友・上下の交はりは、務めて隔を去れ。此の字去らずして怨叛せざる者は、未だ之有らざるなり。
現代語訳
隔たるという一字は、人の情にとって大きな患いです。ですから君臣、父子、夫婦、朋友、上下の交わりでは、努めて隔たりを取り除きなさい。この字が取り除かれないまま、恨みや背きが起こらなかった例はありません。
解説
前段を受けて、隔たりが名指しで問題にされます。五つの関係すべてに同じ処方が出されるのが特徴で、身分や親疎を問いません。そして断定が置かれます。隔たりを残したまま恨みや背きが起こらなかった例はない、と。裏切りや不和の原因を、人柄や事件ではなく心の距離に求める見方で、放置された小さな隔たりが必ず後に効いてくるという警告になっています。
この章句が説くこと
隔患五倫怨叛除去
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