呻吟語 / 内篇・問學・根腳站立し住まらず
道學不行,只為自家根腳站立不住。或倡而不和,則勢孤;或守而眾撓,則志惑,或為而不成,則氣沮;或奪於風俗,則念雜。要挺身自拔,須是有萬夫莫當之勇,死而後已之心。不然,終日三五聚談,焦唇敝舌,成得甚事?
新字:道学不行,只為自家根腳站立不住。或倡而不和,則勢孤;或守而眾撓,則志惑,或為而不成,則気沮;或奪於風俗,則念雑。要挺身自抜,須是有万夫莫当之勇,死而後已之心。不然,終日三五聚談,焦唇敝舌,成得甚事?
書き下し
道學の行はれざるは、只だ自家の根腳站立し住まらざるが為なり。或いは倡へて和せざれば、則ち勢孤なり。或いは守りて眾撓せば、則ち志惑ふ。或いは為して成らざれば、則ち氣沮む。或いは風俗に奪はるれば、則ち念雜なり。挺身自ら拔かんと要せば、須らく是れ萬夫も當たる莫きの勇、死して後已むの心有るべし。然らずんば、終日三五聚談し、唇を焦がし舌を敝らすも、甚の事をか成し得ん。
現代語訳
道の学が行われないのは、ただ自分の足元が立ち止まっていられないからです。唱えても応じる者がいなければ勢いは孤立し、守っていても大勢がかき乱せば志は迷い、やっても成らなければ気は挫け、風俗に奪われれば思いは雑になります。身を挺して抜け出そうとするなら、万人でも敵わない勇と、死ぬまでやめない心が要ります。そうでなければ、一日中三人五人と集まって話し、唇を焦がし舌を擦り減らしても、何が成るでしょうか。
解説
学が世に広まらない理由を、外の妨害ではなく自分の足元に求めます。孤立、迷い、挫け、濁り。四つの崩れ方が順に挙げられ、どれも外から来る圧力に対する自分の側の反応です。そして必要なものは万人分の勇と死ぬまでやめない心。最後に、集まって議論するだけでは何も成らないと突き放して終わります。集まって議論するだけでは何も成らない、という結びです。
この章句が説くこと
足元孤立挫折風俗勇
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