呻吟語 / 内篇・修身・妻子僕隸の間に言動を慎む
慎言動於妻子僕隸之間,檢身心於食息起居之際,這工夫便密了。
新字:慎言動於妻子僕隸之間,検身心於食息起居之際,這工夫便密了。
書き下し
言動を妻子僕隸の間に慎み、身心を食息起居の際に檢すれば、這の工夫便ち密なり。
現代語訳
言葉と行いを妻子や使用人のあいだで慎み、身と心を食事や休息や起き伏しの際に点検すれば、その工夫は細やかになります。
解説
修養の場所を、最も気の緩む所に定めます。家族と使用人のあいだ、そして食事や睡眠の時間。どちらも人前ではなく、取り繕う理由の無い場面です。だからこそ本当の姿が出るし、そこを整えれば工夫は細やかになる。前に出てきた、家の法は奥の間で測るという段の、実践の側を示した一段です。取り繕う理由の無い場所こそ、本当の姿が出るからです。
この章句が説くこと
家庭日常慎み緩み点検
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・倫理・慎言の地は、惟だ家庭を要と為す慎言の地は、惟だ家庭を要と為す。應に言を慎むべきの人は、惟だ妻子・僕隸を要と為す。此れ理亂の原にして禍福の本なり。人往往にして之を忽にす、悲しいかな。
-
『呻吟語』内篇・修身・閨門の事傳ふ可し閨門の事傳ふ可くして、而る後に君子の家法を知る。近習の人敬を起こして、而る後に君子の身法を知る。其の作用の處は只だ是れ敬せざる無きのみ。
-
『呻吟語』内篇・修身・枕席の言は四海に通ず枕席の言、房闥の行は、四海に通ず。牆卑く室淺き者は論ずる無く、即ち宮禁の深嚴なるも、言ひて知られず、動きて聞かれざる者有る無し。士君子名節を愛せずんば則ち已む。如し一毫も自ら好むの心有らば、幽獨盲動慎まざる可けんや。
-
『呻吟語』内篇・倫理・親厚の友と雖も、口に任すべき底の話無し言を謹むは但だ外面のみならず、家庭の間と雖も、個の該に說くべき話無し。但だ大賓のみならず、親厚の友と雖も、個の口に任すべき底の話無し。
-
『呻吟語』内篇・存心・才めて涵養を見る平居の時、心有りて言を訒ぶは還た容易し。何ぞや。收斂するに意有るが故のみ。只だ是れ喜怒愛憎の時に當たりて、發して其の可に當たり、一も人を厭はしむる語無くして、才めて涵養を見る。
-
『呻吟語』内篇・修身・自家の人品自家定めて幾分ぞ只だ盡日自家を點檢し、發出し來たる念頭は、果たして是れ人心なるか、果たして是れ道心なるか。言を出だし事を行ふは果たして是れ公正なるか、果たして是れ私曲なるか。自家の人品自家定めて幾分ぞ。何ぞ人を非笑するに暇あらん。又た何ぞ敢へて人の己を譽むるを喜ばんや。