呻吟語 / 内篇・修身・枕席の言は四海に通ず
枕席之言,房闥之行,通乎四海。牆卑室淺者無論,即宮禁之深嚴,無有言而不知,動而不聞者。士君子不愛名節則已,如有一毫自好之心,幽獨盲動可不慎與?
新字:枕席之言,房闥之行,通乎四海。牆卑室浅者無論,即宮禁之深厳,無有言而不知,動而不聞者。士君子不愛名節則已,如有一毫自好之心,幽独盲動可不慎与?
書き下し
枕席の言、房闥の行は、四海に通ず。牆卑く室淺き者は論ずる無く、即ち宮禁の深嚴なるも、言ひて知られず、動きて聞かれざる者有る無し。士君子名節を愛せずんば則ち已む。如し一毫も自ら好むの心有らば、幽獨盲動慎まざる可けんや。
現代語訳
寝床での言葉、奥の間での行いは、四海に通じます。塀が低く部屋の浅い家は言うまでもなく、宮中の深く厳しい奥であっても、言って知られず、動いて聞かれないものはありません。士君子が名と節を惜しまないなら、それまでです。しかし少しでも自分を大切にする心があるなら、独りの闇での軽はずみを慎まずにいられるでしょうか。
解説
最も秘密が守られそうな場所ほど、実は漏れているという観察です。宮中の奥さえ例外ではないと言い切ります。だから隠せるという前提そのものを捨てよ、という話になります。前に出てきた、埋めてもいずれ明らかになるという段と同じ主張ですが、こちらは場所を具体的に挙げるぶん、逃げ場の無さが際立ちます。隠せるという前提を捨てたところから、慎みが始まります。
この章句が説くこと
秘密漏洩慎独名節私室
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