呻吟語 / 内篇・修身・不苟は先づ個の耐煩を要す
進德莫如不苟,不苟先要個耐煩。今人只為有躁心而不耐煩,故一切苟且卒至破大防而不顧,棄大義而不為,其始皆起於一念之苟也。
新字:進徳莫如不苟,不苟先要個耐煩。今人只為有躁心而不耐煩,故一切苟且卒至破大防而不顧,棄大義而不為,其始皆起於一念之苟也。
書き下し
德に進むは苟せざるに如くは莫し。苟せざるには先づ個の耐煩を要す。今人は只だ躁心有りて煩に耐へざるが為に、故に一切苟且にして卒に大防を破りて顧みず、大義を棄てて為さざるに至る。其の始めは皆な一念の苟に起こるなり。
現代語訳
徳に進むには、間に合わせにしないことに勝るものはありません。間に合わせにしないためには、まず面倒に耐えることが必要です。今の人は、せかせかした心があって面倒に耐えられないために、何もかも間に合わせにし、ついには大きな堤を破っても顧みず、大義を捨てて行わないに至ります。その始まりは、みな一念の間に合わせからです。
解説
敬の定義であった不苟を、さらに一段さかのぼって耐煩に結びつけます。間に合わせにしてしまうのは、面倒に耐えられないからだ、と。根本にあるのは怠けではなく、せっかちさだという診断が鋭いところです。そこから堤が破れ大義が捨てられるまでの道筋を描き、始まりは一念だと念を押します。三つの段がきれいに繋がった論法です。
この章句が説くこと
不苟忍耐せっかち堤端緒
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