呻吟語 / 内篇・存心・躁心浮氣、淺衷狹量
「躁心浮氣,淺衷狹量」,此八字,進德者之大忌也。去此八字,只用得一字,曰主靜。靜則凝重。靜中境自是寬闊。
新字:「躁心浮気,浅衷狭量」,此八字,進徳者之大忌也。去此八字,只用得一字,曰主静。静則凝重。静中境自是寛闊。
書き下し
「躁心浮氣、淺衷狹量」、此の八字は、德に進む者の大忌なり。此の八字を去るに、只だ一字を用ひ得るのみ、曰く靜を主とす。靜なれば則ち凝重なり。靜中の境は自ら是れ寬闊なり。
現代語訳
焦る心、浮ついた気、浅い胸の内、狭い度量。この八字は、徳に進もうとする者の大きな禁物です。この八字を取り除くのに、使える字はただ一字だけ、静を主とすることです。静かであれば固まって重くなります。静かさの中の境地は、おのずと広々としています。
解説
進歩を妨げるものが八字に列挙されます。焦り、浮つき、浅さ、狭さ。四つとも別々の欠点に見えますが、処方はたった一字だと言われます。静を主とすること。静かであれば重みが出て、重みが出れば浅さも狭さも消える、という筋道です。そして最後の一句が効いています。静かさの中は狭いどころか広々としている、と。引き締めることと窮屈さは違うという指摘です。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
躁心浮気静凝重寛闊
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・談道・靜中に天地萬物を看れば都て些子無し靜中に天地萬物を看れば都て些子無し。
-
『呻吟語』内篇・應務・停蓄の水は一決して禦ぐ可からず簡靜沉默の人の發用し出で來たるは當たる可からず。故に停蓄の水は一たび決すれば禦ぐ可からざるなり。蟄處の物は其の毒當たる可からざるなり。潛伏の獸は一たび猛なれば禁ず可からざるなり。輕泄驟舉は、暴雨疾風のみ。智者は懼れず。
-
『慎思録』巻之一水静かなれば則ち清明にして鬚眉を燭らす。其の平らかなること准に中る。大匠法を取る。人心静かにして而る後に能く慮る。慮りて而る後に能く得。蓋し能く慮るとは、明の生ずる所なり。能く得るとは、即ち知り得るなり。故に静かなるに非ざれば則ち明を生ずること能はず。
-
『呻吟語』内篇・存心・靜者は生門、躁者は死戶靜者は生門、躁者は死戶なり。
-
『呻吟語』内篇・談道・三氏傳心の要法は靜の一字三氏傳心の要法は、之を總ぶるに「靜」の一字を離れず。下手の處は皆な是れ欲を制し、歸宿の處は都て是れ無欲なり。是れ則ち同じ。
-
『呻吟語』内篇・問學・萬病は只だ個の靜の字學者の萬病は、只だ個の靜の字のみ治し得る。