呻吟語 / 内篇・修身・定氣と定力
善養身者,饑渴、寒暑、勞役,外感屢變,而氣體若一,未嘗變也;善養德者,死生、榮辱、夷險,外感屢變,而意念若一,未嘗變也。夫藏令之身,至發揚時而解〔亻亦〕;長令之身,至收斂時而鬱閼,不得謂之定氣。宿稱鎮靜,至倉卒而色變;宿稱淡泊,至紛華而心動,不得謂之定力。斯二者皆無養之過也。
新字:善養身者,饑渴、寒暑、労役,外感屢変,而気体若一,未嘗変也;善養徳者,死生、栄辱、夷険,外感屢変,而意念若一,未嘗変也。夫蔵令之身,至発揚時而解〔亻亦〕;長令之身,至収斂時而鬱閼,不得謂之定気。宿称鎮静,至倉卒而色変;宿称淡泊,至紛華而心動,不得謂之定力。斯二者皆無養之過也。
書き下し
善く身を養ふ者は、饑渴・寒暑・勞役、外感屢しば變ずるも、氣體一の若く、未だ嘗て變ぜざるなり。善く德を養ふ者は、死生・榮辱・夷險、外感屢しば變ずるも、意念一の若く、未だ嘗て變ぜざるなり。夫れ藏令の身、發揚の時に至りて解〔亻亦〕し、長令の身、收斂の時に至りて鬱閼するは、之を定氣と謂ふを得ず。宿より鎮靜と稱するも、倉卒に至りて色變じ、宿より淡泊と稱するも、紛華に至りて心動くは、之を定力と謂ふを得ず。斯の二つの者は皆な養ひ無きの過ちなり。
現代語訳
身を善く養う者は、飢えや渇き、寒暑や労役と外からの刺激が何度変わっても、気も体も一つのようで変わりません。徳を善く養う者は、死生や栄辱、平坦と険しさと外からの刺激が何度変わっても、思いが一つのようで変わりません。冬に籠もる季節の身が、春の発揚の時になると緩み、春の伸びる季節の身が、秋の収斂の時になると塞ぐのでは、気が定まっているとは言えません。日ごろ落ち着いていると言われても、とっさに顔色が変われば、日ごろ淡泊と言われても、華やかさに心が動けば、力が定まっているとは言えません。
解説
定まっているかどうかを、条件が変わった時の変化量で測ります。身については飢えや寒暑、徳については死生や栄辱。どれも外からの刺激で、そこで揺れなければ定まっていると言えます。そして落ち着いていると評判の人が、とっさの一瞬で顔色を変える例を挙げる。平時の評判は当てにならず、条件が変わった時だけが試験になるという見方です。
この章句が説くこと
定気定力変化試験養い
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