呻吟語 / 内篇・修身・童心俗態は士人の大恥
童心俗態,此二者士人之大恥也。二恥不服,終不可以入君子之路。
書き下し
童心俗態、此の二つの者は士人の大恥なり。二恥服せざれば、終に以て君子の路に入る可からず。
現代語訳
子どもじみた心と、俗っぽい振る舞い。この二つは士たる者の大きな恥です。この二つの恥を退けられなければ、ついに君子の道に入ることはできません。
解説
子どもじみた心と俗っぽい振る舞いを、悪徳ではなく恥として名指しします。悪いことをしていなくても、この二つがあれば入口にすら立てないという厳しさです。前者は内側の未熟さ、後者は外側の粗さで、内外に一つずつ置かれているのが目を引きます。大人になることと、俗を抜けることが別の課題だと分かる一段です。悪事をしていなくても落第する、という厳しさです。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
未熟俗恥君子入口
関連する章句
-
『講孟余話』盡心上 第七章二章恥の事論じ尽くせり、今又何をか言はん。但し君子の恥づる所と小人の恥づる所とを、試みに比較せんに、君子は徳義なきを恥ぢ、小人は名誉なきを恥づ。君子は才能なきを恥ぢ、小人は官禄なきを恥づ。此の類を推して知るべし。大抵小人の恥づる所は外見なり、君子の恥づる所は内実なり。抑も恥の一字は本邦武士の常言にして、恥を知らざる程恥なるはなし。武士の恥を知らざること今日に至りて極まれり。武道を興さんとならば、先づ恥の一字より興すべし。今日何事か第一の恥なる、第二の恥なる、第三なる、第四なると、一二条款を立てて工夫せば、可なるに庶幾からんか。
-
『幽夢影』巻下・恥の一字は君子を治む「恥」の一字は、君子を治むる所以なり。「痛」の一字は、小人を治むる所以なり。
-
『長短経』品目〔油然は進まざるの貌なり。越は過ぐるなり。孫卿曰く「夫れ君子は貴ぶ可きを為すを能くするも、人をして必ず己を貴ばしむる能わず。信ず可きを為すを能くするも、人をして必ず己を信ぜしむる能わず。用う可きを為すを能くするも、人をして必ず己を用いしむる能わず。故に君子は修めざるを恥じて、汚さるるを恥じず。信ならざるを恥じて、信ぜられざるを恥じず。能わざるを恥じて、用いられざるを恥じず。誉に誘われず、誹を怨まず、道に率いて行い、端然として己を正す。之を君子と謂うなり」と。〕
-
言志四録・言志録 第九条 虚名を冒すの恥君子とは有徳の称なり。其の徳有れば則ち其の位有り。徳の高下を視て位の崇卑を為す。叔世に及びて其の徳無くして其の位に居る者有れば、則ち君子も亦遂に専ら位に在るに就きて之を称する者有り。今の君子、盍ぞ虚名を冒すの恥たるを知らざる。
-
『慎思録』巻之一人は聖人に非ず、誰か過ち無からん。過ち有りと雖も、之を知りて能く改むれば、則ち過ち無きに帰す。故に人の過ち有るは、以て恥と為す所に非ず。苟も私意蔽固なれば、則ち過ち有りと雖も、之を知ること能はず。之を知ると雖も、又改むること能はず。恥づべしと為す所以なり。其の過ち有る時に方りて、以て過ちに非ずと為して、遮護掩蔵すべからず。須らく直ちに己が過ちと為して、顕揚して速やかに之を改むべし。然らば則ち其の心術に於て、分毫も損闕する所無し。何の恥か之れ有らん。子貢の所謂君子の過ちや、日月の食の如し。過てば人皆之を見、更むれば人皆之を仰ぐといふ者は、此の謂なり。苟も過ちを恥ぢて非を遂げ、以て吾が過ちに非ずと為して、偽り飾り掩ひ蔵せば、則ち其の過ちたるや益大にして、罅漏百出す。甚だ醜づべしと為す所以なり。子夏曰く、小人の過つや必ず文ると。此の謂なり。
-
礼記・表記子曰く、仁の成り難きこと久し、惟だ君子のみこれを能くす。是の故に君子は其の能くする所の者を以て人を病(せ)めず、人の能くせざる所の者を以て人を愧(は)じしめず。是の故に聖人の行いを制するや、制するに己を以てせず、民をして勧勉愧恥する所有りて、以て其の言を行わしむ。礼以てこれを節し、信以てこれを結び、容貌以てこれを文(かざ)り、衣服以てこれを移し、朋友以てこれを極め、民の一有らんことを欲するなり。《小雅》に曰く、「人に愧じず、天を畏れず」と。是の故に君子は其の服を服すれば、則ち文るに君子の容を以てす。其の容有れば、則ち文るに君子の辞を以てす。其の辞を遂ぐれば、則ち実たすに君子の徳を以てす。是の故に君子は其の服を服して其の容無きを恥じ、其の容有りて其の辞無きを恥ず。其の辞有りて其の徳無きを恥じ、其の徳有りて其の行無きを恥ず。是の故に君子は衰絰(さいてつ)すれば則ち哀色有り、端冕(たんべん)すれば則ち敬色有り、甲冑すれば則ち辱むべからざるの色有り。《詩》に云う、「惟れ鵜(てい)梁に在り、其の翼を濡らさず。彼の記(き)の子、其の服に称(かな)わず」と。