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正法眼蔵随聞記 / 巻三

是れに愧て辭すといへども、猶終に首座に請す、其の後元首座此の詞はを記錄して、自らを愧しめて師の美言を顯はす、今ま是を案ずるに、昇進を望み、物のかしらとなり、長老とならんと思ふことをば、古人是を慙ぢしむ、只道を悟らんとのみ思ふて餘事あるべからず、

新字:是れに愧て辞すといへども、猶終に首座に請す、其の後元首座此の詞はを記録して、自らを愧しめて師の美言を顕はす、今ま是を案ずるに、昇進を望み、物のかしらとなり、長老とならんと思ふことをば、古人是を慚ぢしむ、只道を悟らんとのみ思ふて余事あるべからず、

書き下し

是れに愧て辞すといへども、猶終に首座に請す、其の後元首座此の詞はを記録して、自らを愧しめて師の美言を顕はす、今ま是を案ずるに、昇進を望み、物のかしらとなり、長老とならんと思ふことをば、古人是を慚ぢしむ、只道を悟らんとのみ思ふて余事あるべからず、

現代語訳

これに恥じて辞退したけれども、なおついに首座に任じられた。その後、元首座はこの言葉を記録して、自らを恥じさせ、師の美しい言葉を顕したのである。今これを考えるに、昇進を望み、物の頭となり長老となろうと思うことを、古人はこれを恥じさせたのである。ただ道を悟ろうとばかり思って、他の事があってはならない。

解説

叱られた本人が、その叱責を書き残したという後日談が置かれる。自分の恥をそのまま記録することで師の言葉が伝わったわけで、この随聞記そのものの成り立ちとも重なる。結びで、頭になろうとする心を古人は恥じさせたと一般化され、道を悟ることのほかに何もあるなという要求に戻る。恥を残した人がいるから、教えが残っている。

この章句が説くこと

恥記録昇進師弟美言悟り

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