呻吟語 / 内篇・修身・智者は四つと鬥はず
智者不與命鬥,不與法鬥,不與理鬥,不與勢鬥。
新字:智者不与命鬥,不与法鬥,不与理鬥,不与勢鬥。
書き下し
智者は命と鬥はず、法と鬥はず、理と鬥はず、勢と鬥はず。
現代語訳
智恵ある者は、命と争わず、法と争わず、理と争わず、勢いと争いません。
解説
争ってはならない相手を四つ挙げます。めぐりあわせ、法、道理、そして勢い。どれも個人が力ずくで動かせないものばかりです。前に出てきた義と命と法の三つに、勢いが加わった形になっています。勢いが入っているのが現実的で、正しくても流れに逆らえば潰れるという認識が背後にあります。戦う相手を選ぶための、簡潔な一段です。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
命法理勢争い
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『呻吟語』内篇・存心・君子は理を畏るること法を畏るるより甚だし法に罪を得るは、尚ほ逃避す可し。理に罪を得るは、更に身を存する處無し。只だ我が底の心、便ち我を放し過ごさず。是の故に君子は理を畏るること法を畏るるより甚だし。
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『韓非子』難三第三十八夫れ姦を知るにも亦大羅有り、其の一を失はざるのみ。其の理を修めずして、己の胸察を以て之が弓矢と為せば、則ち子産は誣ひたり。老子曰く、「智を以て国を治むるは、国の賊なり。」其れ子産の謂ひか。秦の昭王、左右に問ひて曰く、「今時の韓・魏は始めと孰れぞ強き。」左右対へて曰く、「始めより弱し。」「今の如耳・魏斉は曩の孟嘗・芒卯と孰れぞ。」対へて曰く、「及ばざるなり。」王曰く、「孟嘗・芒卯、強き韓・魏を率ゐるも、猶ほ寡人を奈何ともする無きなり。」左右対へて曰く、「甚だ然り。」中期、琴を推して対へて曰く、「王の天下を料るは過てり。夫れ六晋の時、知氏最も強く、范・中行を滅ぼして韓・魏の兵を従へて以て趙を伐ち、灌ぐに晋水を以てし、城の沈まざる者三板。知伯出で、魏宣子御し、韓康子驂乗と為る。知伯曰く、『始め吾水の以て人の国を滅ぼすべきを知らず、吾乃ち今之を知る。汾水は以て安邑に灌ぐべく、絳水は以て平陽に灌ぐべし。』魏宣子、韓康子に肘し、康子、宣子の足を践む。肘足車上に接して、知氏晋陽の下に分かる。今足下強しと雖も、未だ知氏に若かず。韓・魏弱しと雖も、未だ其の晋陽の下に在るが如きに至らず。此れ天下方に肘足を用ふるの時なり、願はくは王之を易んずる勿かれ。」或ひと曰く、昭王の問や失有り、左右中期の対や過有り。凡そ明主の国を治むるや、其の勢に任ず。勢害すべからずんば、則ち強き天下と雖も奈何ともする無きなり、而るを況んや孟嘗・芒卯・韓・魏能く我を奈何せんや。其の勢害すべくんば、則ち不肖なる如耳・魏斉の如き及び韓・魏も猶ほ能く之を害す。