呻吟語 / 内篇・修身・萬事都て個の本意を要す
萬事都要個本意;宮室之設,只為安居;衣之設,只為蔽體;食之設,只為充饑;器之設,只為利用;妻之設,只為有後。推此類不可盡窮。苟知其本意,只在本意上求,分外的都是多了。
新字:万事都要個本意;宮室之設,只為安居;衣之設,只為蔽体;食之設,只為充饑;器之設,只為利用;妻之設,只為有後。推此類不可尽窮。苟知其本意,只在本意上求,分外的都是多了。
書き下し
萬事都て個の本意を要す。宮室の設くるは、只だ安居の為なり。衣の設くるは、只だ蔽體の為なり。食の設くるは、只だ充饑の為なり。器の設くるは、只だ利用の為なり。妻の設くるは、只だ後有るが為なり。此を推せば類として盡く窮む可からず。苟しくも其の本意を知らば、只だ本意の上に在りて求む。分外の的は都て是れ多きなり。
現代語訳
あらゆる事には、もともとの意味が必要です。家を建てるのは安らかに住むためです。衣を作るのは体を覆うためです。食を用意するのは飢えを満たすためです。器を作るのは使いやすくするためです。妻を迎えるのは後継ぎのためです。これを推し広げれば、きりがありません。もともとの意味が分かれば、その意味の上でだけ求めます。それを越えた分は、みな余分です。
解説
家、衣、食、器という身の回りのものを、それぞれの本来の用途に戻していきます。そして本来の用途を越えた分はすべて余分だと言い切る。豪華さや装飾を否定する理屈が、道徳ではなく目的の確認から出てくるので納得しやすい形です。当時の家族観が色濃く出ている箇所もありますが、持ち物を見直す物差しとしては今も有効です。
この章句が説くこと
本意用途余分簡素目的
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