呻吟語 / 内篇・修身・惟だ一不善のみ傳はる
不善之名,每成於一事,後有諸長,不能掩也;而惟一不善傳。君子之動可不慎與?
新字:不善之名,毎成於一事,後有諸長,不能掩也;而惟一不善伝。君子之動可不慎与?
書き下し
不善の名は、每に一事に成る。後に諸長有るも、掩ふ能はざるなり。而して惟だ一不善のみ傳はる。君子の動、慎まざる可けんや。
現代語訳
善くないという評判は、たいてい一つの出来事で決まります。その後にいくつ長所があっても、覆い隠すことはできません。そして、たった一つの善くない事だけが語り継がれます。君子の振る舞いは、慎まないでいられるでしょうか。
解説
評判の非対称を突いた一段です。悪評は一件で成立し、後からいくら善行を重ねても消えない。しかも語り継がれるのはその一件だけになる。理不尽に見えますが、人の記憶の実際がそうなのだから慎めと言うのです。前に出てきた、世評には再審が無いという段と対になり、評される側から見た同じ現実を描いています。後から取り返せない一件があると知って動けということです。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
悪評一件記憶慎重評判
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