呻吟語 / 内篇・修身・君子は人に求むるを慎む
君子慎求人。講道問德,雖屈已折節,自是好學者事。若富貴利達向人開口,最傷士氣,寧困頓沒齒也。
新字:君子慎求人。講道問徳,雖屈已折節,自是好学者事。若富貴利達向人開口,最傷士気,寧困頓没歯也。
書き下し
君子は人に求むるを慎む。道を講じ德を問ふは、已を屈し節を折ると雖も、自ら是れ好學者の事なり。若し富貴利達もて人に向かひて口を開くは、最も士氣を傷る。寧ろ困頓して齒を沒するも可なり。
現代語訳
君子は人に頼むことを慎みます。道を教わり徳を問うのは、自分を屈し節を折ってでも、学びを好む者の当然の務めです。しかし富や地位や栄達のことで人に口を開くのは、最も士の気を損ないます。むしろ行き詰まったまま生涯を終えるほうがよいのです。
解説
頼むことを一律に禁じてはいません。学びのためなら頭を下げてよく、むしろそれが学ぶ者の務めだと言います。禁じられるのは、富や地位のために口を開くこと。同じ頭の下げ方でも、何のためかで正反対になるという線引きです。前に出てきた、栄達のために人に頼むのは恥だという段と同じ主題を、学びの側から補っています。

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