呻吟語 / 内篇・修身・人を責むる無きは自修の第一
無責人,自修之第一要道;能體人,養量之第一要法。
新字:無責人,自修之第一要道;能体人,養量之第一要法。
書き下し
人を責むる無きは、自ら修むるの第一の要道なり。能く人を體するは、量を養ふの第一の要法なり。
現代語訳
人を責めないことが、自分を修める第一の肝要な道です。人の身になれることが、器量を養う第一の肝要な方法です。
解説
自分を修めることと、器量を養うことに、それぞれ一つずつ方法を当てます。責めないことと、人の身になること。どちらも他人との関わりの中にあり、独りで座って行う修養ではありません。しかも二つは表と裏で、責めない人は自然と相手の事情を汲んでいます。第一と二度言い切ることで、優先順位を明確にした一段になっています。
この章句が説くこと
自修器量責めない共感優先
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・問學・六合を含むこと一粒の如し學者は只だ是れ氣盈つれば、便ち長進せず。六合を含むこと一粒の如く、之を覓むるも見えず。一粒を六合に吐き、之を出だして窮まらず。大人と謂ふ可し。而して自ら處すること庸人の如く、初めより自ら表異せず。退讓すること空夫の如く、初めより自ら滿足せず。掌を抵ち臂を攘げて世に人無しと視るは、之を善を以て人を服すと謂はば則ち可ならんや。
-
人物志・接識故に一流の人は、能く一流の善を識る。二流の人は、能く二流の美を識る。
-
歎異抄・第十二条たとい自余の教法は勝れたりとも、自らがためには器量及ばざれば、つとめがたし。 我も人も生死を離れんことこそ諸仏の御本意にておわしませば、御妨げあるべからず」とて、にくい気せずは、誰の人かありて仇をなすべきや。
-
『呻吟語』内篇・問學・只だ是れ器度小なり學者の大病痛は、只だ是れ器度小なり。
-
『呻吟語』内篇・存心・只だ大公なれば、便ち是れ天下を包涵する氣象只だ大公なれば、便ち是れ天下を包涵する氣象なり。
-
論語・子路篇子曰く、君子は事え易くして説ばせ難きなり。之を説ばすに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及びてや、之を器にす。小人は事え難くして説ばせ易きなり。之を説ばすに道を以てせずと雖も、説ぶなり。其の人を使うに及びてや、備わらんことを求む。