呻吟語 / 内篇・修身・輕輕として個の人品を賣り了はる
世間至貴,莫如人品與天地參,與古人友,帝王且為之屈,天下不易其守。而乃以聲色、財貨、富貴、利達,輕輕將個人品賣了,此之謂自賤。商賈得奇貨亦須待價,況士君子之身乎?
新字:世間至貴,莫如人品与天地参,与古人友,帝王且為之屈,天下不易其守。而乃以声色、財貨、富貴、利達,軽軽将個人品売了,此之謂自賤。商賈得奇貨亦須待価,況士君子之身乎?
書き下し
世間の至貴は、人品の天地と參し、古人と友とし、帝王も且つ之が為に屈し、天下も其の守を易へざるに如くは莫し。而るに乃ち聲色・財貨・富貴・利達を以て、輕輕として個の人品を將て賣り了はる。此れを之れ自ら賤しむと謂ふ。商賈は奇貨を得るも亦た須らく價を待つべし。況んや士君子の身をや。
現代語訳
世間で最も貴いものは、人柄が天地と並び、古人と友となり、帝王でさえそのために身を屈め、天下も守るところを変えさせられない、そういうものに及ぶものはありません。それなのに音や色や財や富貴や栄達と引き換えに、あっさりと自分の人柄を売り払ってしまう。これを自分を賤しめると言います。商人でさえ珍しい品を手に入れれば値を待ちます。まして士君子の身ならなおさらです。
解説
人柄を、世間で最も貴い品として値をつけます。天地と並び、帝王も屈するほどの値打ち。それをわずかな快楽や利益と交換するのが自賤だというのです。商人でも珍品なら値を待つ、という比喩が効いていて、安売りの愚かさを商売の常識から示します。人柄を守ることを、道徳ではなく取引の下手さの問題に置き換えた一段です。
この章句が説くこと
人品自賤取引安売り価値
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