呻吟語 / 内篇・修身・激切の語を出だす
聞世上有不平事,便滿腔憤懑,出激切之語,此最淺夫薄子,士君子之大戒。
新字:聞世上有不平事,便満腔憤懑,出激切之語,此最浅夫薄子,士君子之大戒。
書き下し
世上に不平の事有るを聞けば、便ち滿腔憤懣して、激切の語を出だす。此れは最も淺夫薄子なり。士君子の大戒なり。
現代語訳
世の中に不公平な事があると聞けば、たちまち胸いっぱいに憤り、激しく切実な言葉を吐く。これは最も浅く軽い者のすることで、士君子が強く戒めるべきことです。
解説
義憤そのものを否定しているわけではなく、聞いた途端に激語を吐くという反応の速さを問題にしています。事情を確かめる前に立場を決め、強い言葉で表明する。それを浅く軽いと断じます。正義感の強い人ほど陥りやすく、しかも本人は正しいことをしていると感じている。今の情報環境を思えば、いっそう鋭く響く一段です。怒りの正しさと、怒る速さは別のものなのです。
この章句が説くこと
義憤速断激語軽率戒め
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