呻吟語 / 内篇・修身・恬退養望、虛名を邀ふ
古者招隱逸,今也獎恬退,吾黨可以愧矣。古者隱逸養道,不得已而後出;今者恬退養望,邀虛名以干進,吾黨可以戒矣。
新字:古者招隠逸,今也獎恬退,吾党可以愧矣。古者隠逸養道,不得已而後出;今者恬退養望,邀虚名以干進,吾党可以戒矣。
書き下し
古は隱逸を招き、今は恬退を獎す。吾が黨愧づ可きなり。古は隱逸は道を養ひ、已むを得ずして而る後に出づ。今は恬退は望を養ひ、虛名を邀へて以て進を干む。吾が黨戒む可きなり。
現代語訳
昔は隠者を招きましたが、今は身を引くことを褒めます。我々は恥じるべきです。昔の隠者は道を養い、やむを得なくなって初めて世に出ました。今、身を引く者は評判を養い、虚しい名を手に入れて出世を求めています。我々は戒めるべきです。
解説
身を引くという同じ行為が、昔と今で中身が逆になっていると指摘します。昔は道を養うためで、今は評判を作るため。しかも作った評判で出世を狙うというのですから、退いているようで進もうとしているわけです。形だけを見れば区別がつかないところが厄介で、だから吾が党と自分たちを名指しして戒めています。退く姿勢が評価される場では、必ずこの倒錯が起きます。
この章句が説くこと
隠逸恬退虚名出世偽装
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