呻吟語 / 内篇・修身・寬大には煞だ受用の處有り
古人之寬大,非直為道理當如此,然煞有受用處。弘器度以養德也,省怨怒以養氣也,絕仇讎以遠禍也。
新字:古人之寛大,非直為道理当如此,然煞有受用処。弘器度以養徳也,省怨怒以養気也,絶仇讎以遠禍也。
書き下し
古人の寬大は、直だ道理當に此の如くなるべしと為すのみに非ず、然れども煞だ受用の處有り。器度を弘くするは以て德を養ふなり。怨怒を省くは以て氣を養ふなり。仇讎を絕つは以て禍を遠ざくるなり。
現代語訳
昔の人の寛大さは、ただ道理としてそうあるべきだというだけのものではなく、実に大きな使いどころがありました。器量を広くするのは徳を養うためです。怨みや怒りを減らすのは気を養うためです。恨みの相手を作らないのは災いを遠ざけるためです。
解説
寛大さを、道徳ではなく利得の面から説き直した一段です。器量を広げれば徳が育ち、怨りを減らせば気が保たれ、敵を作らなければ災いが減る。三つとも自分に返ってくる利益として並べられています。立派だから寛大にせよという説得は動きにくいものですが、こう言われると納得しやすい。呂坤がしばしば取る、道理と実利を両方示す書き方の典型です。
この章句が説くこと
寛大器量怨み実利禍
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