呻吟語 / 内篇・修身・少年は收斂、老人は豪暢
少年之情,欲收斂不欲豪暢,可以謹德;老人之情,欲豪暢不欲鬱閼,可以養生。
新字:少年之情,欲収斂不欲豪暢,可以謹徳;老人之情,欲豪暢不欲鬱閼,可以養生。
書き下し
少年の情は、收斂を欲して豪暢を欲せず、以て德を謹む可し。老人の情は、豪暢を欲して鬱閼を欲せず、以て生を養ふ可し。
現代語訳
若い人の情は、引き締めるのがよく、奔放にするのはよくありません。それで徳を慎むことができます。老いた人の情は、伸びやかにするのがよく、ふさぎこむのはよくありません。それで生を養うことができます。
解説
同じ人に対して、年齢で正反対の処方を出す一段です。若い時は締め、老いてからは緩める。目的も違っていて、若い時は徳のため、老いてからは体のためです。年齢に応じて何を優先するかが変われば、正しい振る舞いも変わる。一律の修養論を退けた、実に柔らかい見方になっています。若い時の窮屈さと、老いてからの伸びやかさは、どちらもその年の務めです。一律の正解を退けて、時期ごとの処方を出したところに、この書の柔らかさが現れています。
この章句が説くこと
年齢収斂伸びやか養生徳
関連する章句
-
呂氏春秋・精通③德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
-
論語・衛霊公篇子曰く、由、徳を知る者は鮮なし。
-
論語・為政篇子曰く、之を道びくに政を以てし、之を斉(ととの)うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を道びくに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有り且つ格(いた)る。
-
論語・憲問篇南宮适、孔子に問いて曰く、「羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶に其の死を得ざりき。禹・稷は躬ら稼して天下を有てり。」夫子答えず。南宮适出づ。子曰く、「君子なるかな若き人。徳を尚ぶかな若き人。」
-
論語・為政篇子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰其の所に居て衆星之に共(むか)うが如し。
-
『墨子』親士是の故に天地は昭昭たらず、大水は潦潦たらず、大火は燎燎たらず、王徳は堯堯たらず。者は乃ち千人の長なり。其の直きこと矢の如く、其の平らかなること砥の如きは、萬物を覆うに足らず。是の故に谿の狹き者は速やかに涸れ、逝の淺き者は速やかに竭き、墝埆なる者は其の地育まず。王者の淳き澤も、宫中を出でざれば、則ち國に流るる能わず。