呻吟語 / 内篇・修身・晝の為す所、夜にして之を思ふ
古之士民,各安其業,策勵精神,點檢心事。晝之所為,夜而思之,又思明日之所為。君子汲汲其德,小人汲汲其業,日累月進,旦興晏息,不敢有一息惰慢之氣。夫是以士無慆德,民無怠行;夫是以家給人足,道明德積,身用康強,不即於禍。今也不然,百畝之家不親力作,一命之士不治常業,浪談邪議,聚笑覓歡,耽心耳目之玩,騁情遊戲之樂,身衣綺縠,口厭芻豢,志溺驕佚,懵然不知日用之所為,而其室家土田百物往來之費又足以荒志而養其淫,消耗年華,妄費日用。噫!是亦名為人也,無惑乎後艱之踵至也!
新字:古之士民,各安其業,策勵精神,点検心事。昼之所為,夜而思之,又思明日之所為。君子汲汲其徳,小人汲汲其業,日累月進,旦興晏息,不敢有一息惰慢之気。夫是以士無慆徳,民無怠行;夫是以家給人足,道明徳積,身用康強,不即於禍。今也不然,百畝之家不親力作,一命之士不治常業,浪談邪議,聚笑覓歓,耽心耳目之玩,騁情遊戯之楽,身衣綺縠,口厭芻豢,志溺驕佚,懵然不知日用之所為,而其室家土田百物往来之費又足以荒志而養其淫,消耗年華,妄費日用。噫!是亦名為人也,無惑乎後艱之踵至也!
書き下し
古の士民は、各おの其の業に安んじ、精神を策勵し、心事を點檢す。晝の為す所、夜にして之を思ひ、又た明日の為す所を思ふ。君子は其の德に汲汲とし、小人は其の業に汲汲とす。日に累ね月に進み、旦に興き晏く息ひ、敢へて一息の惰慢の氣有らず。今や然らず。百畝の家は力作に親しまず、一命の士は常業を治めず、浪談邪議して笑ひを聚め歡を覓む。噫、是れ亦た名づけて人と為すなり。後艱の踵り至るに惑ひ無きなり。
現代語訳
昔の士や民は、それぞれ自分の生業に安んじ、精神を励まし、心の事を点検しました。昼にしたことを夜に思い返し、また明日することを思いました。君子は徳にいそしみ、小人は生業にいそしみます。日に積み月に進み、朝早く起き遅く休み、ひと息も怠ける気を持ちませんでした。今はそうではありません。百畝の家は自ら働かず、位を得た士は常の務めを治めず、無駄話と邪な議論で笑いを集め楽しみを求めます。ああ、これも人と名づけられているのです。後の苦しみが次々にやって来るのも不思議ではありません。
解説
この章句が説くこと
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