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呻吟語 / 内篇・談道・斯須も身を去る可からず

使人收斂莊重莫如禮,使人溫厚和平莫如樂。德性之有資於禮樂,猶身體之有資於衣食,極重大,極急切。人君治天下,士君子治身,惟禮樂之用為急耳。自禮廢,而惰慢放肆之態慣習於身體矣;自樂亡,而乖戾忿恨之氣充滿於一腔矣。三代以降,無論典秩之本,聲氣之元,即儀文器數,夢寐不及。悠悠六合,貿貿百年,豈非靈於萬物,而萬物且能笑之?細思先儒「不可斯須去身」六字,可為流涕長太息矣。

新字:使人収斂荘重莫如礼,使人温厚和平莫如楽。徳性之有資於礼楽,猶身体之有資於衣食,極重大,極急切。人君治天下,士君子治身,惟礼楽之用為急耳。自礼廃,而惰慢放肆之態慣習於身体矣;自楽亡,而乖戻忿恨之気充満於一腔矣。三代以降,無論典秩之本,声気之元,即儀文器数,夢寐不及。悠悠六合,貿貿百年,豈非霊於万物,而万物且能笑之?細思先儒「不可斯須去身」六字,可為流涕長太息矣。

書き下し

人をして收斂莊重ならしむるは禮に如くは莫く、人をして溫厚和平ならしむるは樂に如くは莫し。德性の禮樂に資有るは、猶ほ身體の衣食に資有るがごとし。極めて重大、極めて急切なり。禮廢れしより、惰慢放肆の態身體に慣習す。樂亡びしより、乖戾忿恨の氣一腔に充滿す。細かに先儒の「斯須も身を去る可からず」の六字を思へば、流涕長太息す可きなり。

現代語訳

人を引き締め重々しくさせるものは礼に及ぶものがなく、人を温かくおだやかにさせるものは楽に及ぶものがありません。徳性が礼楽に頼るのは、身体が衣食に頼るのと同じです。きわめて重大で、きわめて差し迫っています。礼が廃れてから、だらけて勝手な態度が身体の習いとなりました。楽が失われてから、ねじけて憤る気が胸いっぱいに満ちました。先の儒者が言った、わずかの間も身から離してはならないという六字を細かに思えば、涙を流し長い溜息をつくほかありません。

解説

礼と楽を、徳にとっての衣食だと言い切ります。あれば望ましいものではなく、無ければ生きられないものだという扱いです。そのうえで、礼が廃れると身体がだらけ、楽が失われると胸に憤りが満ちると、失われた後の症状を具体的に描きます。心構えの話ではなく、身体と気分の話になっているのが特徴です。形を整えることが心を整えるという順序を、呂坤は本気で信じていました。
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この章句が説くこと

礼楽身体気分習慣徳

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