呻吟語 / 内篇・談道・人事は就ち是れ天命
人事就是天命。
書き下し
人事は就ち是れ天命なり。
現代語訳
人がすることが、そのまま天の命です。
解説
人事を尽くして天命を待つという言い方では、人事と天命は二つに分かれ、あいだに待つ時間が入ります。呂坤はその線を消し、人がすることがそのまま天命だと言います。待つ相手はどこにもいない。これは責任の置き所を天から人へ引き戻す一行であり、前の段で理が三つに負けると書いた後に置かれている点が効いています。待つ時間を消し、今日の行いに全部を預ける一行です。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
人事天命責任実行運
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『講孟余話』盡心上 首章「殀寿貳はず、身を脩めて以て之れを俟つは、命を立つる所以なり」。殀寿は命の短長なり。命の短長に於て疑貳の心を生ぜず、唯々「身を脩めて以て之れを俟つ」とは、吾が心力の及ぶ丈けは尽くして、其の余は命に任せ置くなり。然れば命を立つるとて、命を人為を以て害するに至らず。是れに因りて思ふことあり。往歳余病あり、数々三分利良哲方へ往きて治を求む。時に良哲が家の屏風に、「人事を尽くして以て天命を俟つ」と云ふ語のありたるを覚ゆ。当時予始めて此の語の医療の事に就きて発明すべきを知る。蓋し「死生命有り」と云ひて療せず、医療すると云へども、摂生薬餌に心を用ひずして死を致す者あり。是れは殀寿貳はずとは云ふべけれども、身を脩めて命を俟つと云ふべからず。又医療摂生至らざる処なくして、寿命の尽くるに至りて、甚しく未練の心を生じ、醜態を発するは、身を脩めずして命を俟つには異なれども、殀寿貳はずの義を知らざるの極と云ふべし。浮屠清狂の種痘の詩に、「謾りに言ふ洋法は神よりも妙なりと、引痘絶えて夭折の人無し。識らず死生元命有るを、枉げて牛膿を移して人身に種う」と。余謂へらく、種痘の類は皆人事を尽くすの一端にて、此の良術を廃して死生命有りと云ふは、身を脩めずして命を俟つに近し。他日を俟ちて清狂と此の義を論ぜんと欲す。
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言志四録・言志晩録 第百九十一条 苦悩の一半を省く人事の期せざる所に赴くは、究に人力に非ず。人家の貧富の如きは、天に係る有り、人に係る有り。然れども其の人に係る者も、竟に亦天に係る。世に処して能く此の理を知らば、苦悩の一半を省かんのみ。
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『初学訓』巻之三一万の事、皆天命なれば、人の力及びがたし。不幸なりとも、天命をやすんじて、うれふべからず。されども、人事をば尽すべし。人事を尽すとは、わが身を慎みて、行ふべき道をつとめ行ひ、過を改め善に遷りて、禍に遭ふべき罪咎なからんことを求むるをいふ。病ある者の、つつしみてよく保養するも、亦人力を尽すなり。是人力のつとめによりて、天命を得る理あり。此の如くにして、其上は、天命にまかせて楽むべし、うれへて心を苦むべからず。
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『呻吟語』外篇・聖賢・成敗を計るに暇あらず聖人の天地に功有るは、只だ是れ人事の二字なり。其の人事を盡くすや、天命を言はず。回天の力無きを知らざるに非ず、人事は當然にして、成敗計るに暇あらざればなり。
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『大和俗訓』巻之四・心術下一天命は天のくだす所、人のうくる所なり。命は猶令のごとしとて、下知の意なり。天よりくだる故に天命といふ。天命に常あり変あり。善を行へば福あり、悪をすれば禍あるは常なり。善人に禍あり。悪人に福あるは変なり。人の吉凶、禍福、寿夭、富貴貧賤、万の幸不幸、皆天の命ずる所なり。人間の万事、天命にあらざる事なし。或は生れつきて定まり、或は時により不慮に命くだりて、偶然として福にあひ、わざはひにあふ。求めても命なければ得がたく、求めざれども命あれば得やすし。唯人の法を行ひて、天命をまつべし。善を行ひて福来るは常の理なれども、もし禍あるは、是また天命の変なれば、うれふべからず。およそ人天命を知りて、命にまかせ、うれひなき工夫をなすべし。天命を知らざれば、命のさだまりありて、福の求めがたく、禍の去りがたき事を知らず。利につき、害をさけんとし、人にへつらひ、神にへつらふは見ぐるし。愚なりといふべし。故に論語に、命を知らざれば以て君子たること無きなりといへり。
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論語・堯曰篇堯曰く、「咨、爾舜、天の暦数爾の躬に在り。允に其の中を執れ。四海困窮せば、天禄永く終わらん。」舜も亦た以て禹に命ず。曰く、「予小子履、敢えて玄牡を用い、敢えて昭らかに皇皇たる后帝に告ぐ。罪有るは敢えて赦さず。帝の臣は蔽わず、簡ぶこと帝の心に在り。朕が躬罪有らば、万方を以てすること無かれ。万方罪有らば、罪は朕が躬に在り。」「周に大賚有り、善人是れ富む。」「周親有りと雖も、仁人に如かず。百姓過ち有らば、予一人に在り。」権量を謹み、法度を審らかにし、廃官を脩むれば、四方の政行われん。滅国を興し、絶世を継ぎ、逸民を挙ぐれば、天下の民心を帰せん。重んずる所は、民・食・喪・祭。寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち民任じ、敏なれば則ち功有り、公なれば則ち説ぶ。