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呻吟語 / 内篇・談道・夫れ焉んぞ倚る所有らんや

「夫焉有所倚」,此至誠之胸次也。空空洞洞,一無所著,一無所有,只是不倚著。才倚一分,便是一分偏;才著一釐,便是一釐礙。

書き下し

「夫れ焉んぞ倚る所有らんや」、此れ至誠の胸次なり。空空洞洞として、一も著くる所無く、一も有する所無し。只だ是れ倚著せざるのみ。才かに一分倚れば、便ち是れ一分の偏なり。才かに一釐著けば、便ち是れ一釐の礙なり。

現代語訳

いったいどこに寄りかかる所があるだろうか。これがこの上ない誠の人の胸の内です。がらんとして空っぽで、貼りつくものも持つものも一つとしてありません。ただ寄りかからないだけです。一分だけ寄りかかれば、それが一分の偏りになります。わずかに貼りつけば、それがわずかな引っかかりになります。

解説

中庸の一句から、寄りかからないことの意味を引き出します。がらんとして何も持たないのは、無気力ではなく、どこにも重心を預けていない状態です。そして偏りは寄りかかった分だけ、引っかかりは貼りついた分だけ、正確に生じると言います。少しくらいなら、が効かない。この定量的な言い方が印象に残ります。寄りかからない人だけが、どこへでも動けるということです。
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この章句が説くこと

中庸偏り無執着誠重心

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