呻吟語 / 内篇・談道・從容に得て急遽に失ふ
覓物者,苦求而不得或視之而不見,他日無事於覓也,乃得之。非物有趨避,目眩於急求也。天下之事,每得於從容而失之急遽。
新字:覓物者,苦求而不得或視之而不見,他日無事於覓也,乃得之。非物有趨避,目眩於急求也。天下之事,毎得於従容而失之急遽。
書き下し
物を覓むる者は、苦だ求めて得ず、或いは之を視れども見えず。他日覓むるに事無きや、乃ち之を得たり。物に趨避有るに非ず、目の急求に眩めばなり。天下の事は、每に從容に得て之を急遽に失ふ。
現代語訳
探し物をする者は、必死に探しても見つからず、目に入っていても見えていません。後日、探すつもりも無いときに、ふと見つかります。物が逃げたり隠れたりしたのではなく、急いで探す目がくらんでいたのです。世の中の事はいつも、ゆったりしているときに得られ、急いでいるときに失われます。
解説
探し物の例から始まるのが親しみやすい一段です。見えなかったのは物が隠れていたからではなく、こちらの目がくらんでいたから。そこから世の中の事一般へ広げ、ゆったりして得て、急いで失うと結びます。前に出てきた止まった水が物を映すという一句と、まっすぐつながっています。急いでいるという自覚が、そのまま手がかりになります。
この章句が説くこと
焦り従容探索視野余裕
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