呻吟語 / 内篇・性命・六合は原と是れ個の情世界
六合原是個情世界,故萬物以之相苦樂,而至人聖人不與焉。
新字:六合原是個情世界,故万物以之相苦楽,而至人聖人不与焉。
書き下し
六合は原と是れ個の情世界、故に萬物之を以て相苦樂す。而して至人・聖人は與らず。
現代語訳
天地四方の世界は、もともと情でできた世界です。だから万物はそれによって互いに苦しんだり楽しんだりします。しかし至った人や聖人は、そこに与しません。
解説
世界の成り立ちが情の一語で捉えられます。喜びも苦しみも情から生まれるのだから、情でできた世界に住む限り、苦楽は避けられない。ここまでは冷静な観察です。そのうえで至人と聖人は与らないと言う。情を無くすのではなく、情の生む苦楽に振り回される仕組みから降りるということでしょう。世界を否定せず、そこでの立ち位置だけを変える見方です。
この章句が説くこと
情世界苦楽距離超然
関連する章句
-
『呻吟語』外篇・世運・六合は個の情世界六合は是れ個の情世界なり。萬物は情に生じ情に死す。至人は情無く、聖人は情を調へ、君子は情を制し、小人は情を縱にす。
-
『呻吟語』内篇・談道・萬物は性に生じ、情に死す萬物は性に生じ、情に死す。故に上智は情を去り、君子は情を正しくし、眾人は情に任せ、小人は情を肆にす。夫れ情の能く人を死せしむるを知らば、則ち當に心を淡泊無味の鄉に遊ばしめ、而して世の欣戚趨避する所に於いて、漠然として以て其の慮を嬰らはさざるべし。則ち身は苦しめども心は樂しく、感は殊にして應は一なり。其の逃るる能はざる所の者は、天下と同じ。其の了然として獨り得る所の者は、天下と異なる。
-
『呻吟語』外篇・治道・朝堂官府は法世界為り六合は都て是れ情世界なり。惟だ朝堂官府のみ法世界為り。若し也た只だ情に徇はば、世間更に公道を覓むる處無し。
-
『呻吟語』内篇・修身・那個か是れ人、那個か是れ我六合は是れ我が底の六合なり、那個か是れ人ならん。我は是れ六合底の我なり、那個か是れ我ならん。
-
『呻吟語』内篇・修身・一夫獲ざれば便ち是れ一處の瘡痍宇宙內の事は、皆な此の身に備はる。即ち一種未だ完せず、一毫未だ盡くさざれば、便ち是れ一分の破綻なり。天地間の生は、吾が體に非ざる莫し。即ち一夫獲ず、一物所を失へば、便ち是れ一處の瘡痍なり。
-
『呻吟語』内篇・問學・一毫も吾が身と相干涉せざる無し天地萬物は、其の情一毫も吾が身と相干涉せざる無く、其の理一毫も吾が身と相發明せざる無し。