呻吟語 / 内篇・存心・只だ一の戀の字を擺脫せよ
胸中只擺脫一「戀」字,便十分爽淨,十分自在。人生最苦處,只是此心沾泥帶水,明是知得,不能斷割耳。
新字:胸中只擺脫一「恋」字,便十分爽浄,十分自在。人生最苦処,只是此心沾泥帯水,明是知得,不能断割耳。
書き下し
胸中に只だ一の「戀」の字を擺脫すれば、便ち十分爽淨、十分自在なり。人生の最も苦しむ處は、只だ是れ此の心泥に沾れ水を帶び、明らかに是れ知り得たるも、斷割する能はざるのみ。
現代語訳
胸の中からただ執着の一字を振り払えば、それだけで十分にさっぱりし、十分に自在になります。人生で最も苦しいところは、ただこの心が泥にまみれ水を含んで、はっきり分かっているのに断ち切れないことだけです。
解説
苦しみの正体が一字に絞られます。恋、つまり執着です。そして苦しみの中身が的確に言い当てられます。分からないから苦しいのではなく、分かっているのに断ち切れないから苦しい、と。泥にまみれ水を含む、という手ざわりのある表現が、その状態のねばつきを伝えます。知識ではなく決断が足りていないという指摘で、多くの悩みに当てはまります。
この章句が説くこと
執着断割苦泥水決断
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