呻吟語 / 内篇・談道・毅ならず弘ならずんば、何を以て物を載せん
弘毅,坤道也。《易》曰「含弘光大」,言弘也;「利永貞」,言毅也。不毅不弘,何以載物?
書き下し
弘毅は、坤道なり。『易』に曰く「含弘光大」とは、弘を言ふなり。「利永貞」とは、毅を言ふなり。毅ならず弘ならずんば、何を以て物を載せん。
現代語訳
広く強いことは、坤の道です。易に、含み広く光り大いなる、とあるのは広さを言います。永く貞しきに利あり、とあるのは強さを言います。強くなく広くなければ、何によって物を載せられるでしょうか。
解説
曾子の弘毅が、易の坤の卦に結びつけられます。含弘光大が広さ、利永貞が強さ。そして最後に用途が示されます。強くも広くもなければ物を載せられない、と。坤は大地を表す卦で、載せることがその働きです。人の器を、高さや鋭さではなく載せる能力として捉える見方で、前に出た深沈厚重の資質論と揃っています。高さを競うのではなく、載せられる量で器を測るという見方です。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
弘毅坤含弘永貞載物
関連する章句
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易経・象伝地勢は坤なり、君子は以て徳を厚くして物を載す。
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易経・文言陰は美有りと雖も之を「含」みて以て王事に從い、敢えて成さざるなり。地の道なり、妻の道なり、臣の道なり。地の道は「成すこと无く」して「終わり有る」に代わるなり。天地變化して、草木蕃る。天地閉じて、賢人隱る。《易》に曰く「囊を括る、咎无く譽无し」とは、蓋し謹むを言うなり。
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論語・泰伯篇曾子曰く、「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。仁以て己が任と為す、亦重からずや。死して後已む、亦遠からずや」と。
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