呻吟語 / 内篇・談道・天欲有り、人欲有り
有天欲,有人欲。吟風弄月,傍花隨柳,此天欲也。聲色貸利,此人欲也。天欲不可無,無則禪;人欲不可有,有則穢。天欲即好底人欲,人欲即不好底天欲。
新字:有天欲,有人欲。吟風弄月,傍花随柳,此天欲也。声色貸利,此人欲也。天欲不可無,無則禅;人欲不可有,有則穢。天欲即好底人欲,人欲即不好底天欲。
書き下し
天欲有り、人欲有り。風に吟じ月を弄び、花に傍ひ柳に隨ふは、此れ天欲なり。聲色貸利は、此れ人欲なり。天欲は無かる可からず、無ければ則ち禪なり。人欲は有る可からず、有れば則ち穢なり。天欲は即ち好き底の人欲、人欲は即ち好からざる底の天欲なり。
現代語訳
天の欲があり、人の欲があります。風に詩を吟じ月をもてあそび、花に寄り添い柳に従うのは、天の欲です。音楽や色事や財貨の利は、人の欲です。天の欲はなくてはなりません。なければ禅になってしまいます。人の欲はあってはなりません。あれば汚れます。天の欲とは良いほうの人の欲であり、人の欲とは良くないほうの天の欲です。
解説
欲が二つに分けられます。風月花柳を楽しむ天の欲と、声色や財貨を求める人の欲。面白いのは天の欲を無くしてはいけないと言うところで、無ければ禅になってしまう、と。欲を消し去る方向を退けています。そして最後の言い換えが巧みです。天の欲とは良いほうの人の欲であり、人の欲とは悪いほうの天の欲だ、と。同じ根から出ていることになります。
この章句が説くこと
天欲人欲風月禅良否
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