呻吟語 / 内篇・談道・陽に向かふ者は先に發し、陰に向かふ者は後に枯る
陽道生,陰道養。故向陽者先發,向陰者後枯。
新字:陽道生,陰道養。故向陽者先発,向陰者後枯。
書き下し
陽道は生じ、陰道は養ふ。故に陽に向かふ者は先に發し、陰に向かふ者は後に枯る。
現代語訳
陽の道は生み、陰の道は養います。ですから陽に向かうものは先に芽を出し、陰に向かうものは後まで枯れません。
解説
陽と陰の働きが、生むことと養うことに振り分けられます。そして結果が観察として示されます。日の当たる側は早く芽吹き、日陰の側は遅くまで枯れない。早く出るものと長く保つものが違うという指摘で、前に置かれた、陰は存続させ陽は滅ぼす、という一段と同じ見方です。速さと持続を両立させない自然の姿が、二十一字に収められています。
この章句が説くこと
陽陰生養速持
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・談道・陰は養ふ所、陽は用ふる所聖人の作用は、皆な陰を以て主と為し、陽を以て客と為す。陰は養ふ所の者なり、陽は用ふる所の者なり。天地も亦た陰を主とし陽を客とす。二氏の家は全く是れ陰なり。道家は陰を以て純陽を養ひて之を嗇しみ、釋家は陰を以て純陰を養ひて之を寶とす。凡そ人の陰多き者は、壽多く福多し。陽多き者は、夭多く禍多し。
-
『呻吟語』外篇・廣喻・外撓む可きが若きは陽は動を主る。動けば燥を生ず。陽に得る有らば、則ち袒裼して以て冰雪に臥す可し。陰は靜を主る。靜なれば寒を生ず。靜に得る有らば、則ち盛暑にも裘褐を衣る可し。君子は道に得る有らば、往くとして裕如たらざる如きあらんや。外撓む可きが若きは、必ず內に得る所無き者なり。
-
『呻吟語』外篇・廣喻・聖人の事を舉ぐるは、人の聽聞を駭かさず天道は漸なれば則ち生じ、躐ゆれば則ち殺す。陰陽の氣は皆な漸を以てす。故に萬物長養して百化昌遂す。冬燠なれば則ち生氣散じ、夏寒ければ則ち生氣收まる。皆な躐ゆるなり。故に聖人の事を舉ぐるは、人の聽聞を駭かさず。
-
『呻吟語』外篇・天地・一陰一陽を道と謂ふ一陰一陽之を道と謂ふ。二陰二陽之を駁と謂ふ。陰多く陽少なく、陽多く陰少なきを之れ偏と謂ふ。陰有りて陽無く、陽有りて陰無きを之れ孤と謂ふ。一陰一陽、乾坤の兩卦は、不二不雜にして純粹以て精なり。此れ天地中和の氣、天地の至善なり。孤氣の生ずる所に至りては、大いに常理に乖く。孤陰の善は、慈悲なること母の如く、惡なれば則ち險毒なること虺の如し。孤陽の善は、惡を嫉むこと仇の如く、惡なれば則ち凶橫なること虎の如し。
-
『呻吟語』外篇・天地・陽中の陰、陰中の陽陽は藏する能はず、陰は顯はるる能はず。才かに藏する處有らば、便ち是れ陽中の陰なり。才かに顯はるる處有らば、便ち是れ陰中の陽なり。
-
『呻吟語』内篇・談道・一陰一陽之を道と謂ふ「二女同居すれば、其の志行を同じくせず」とは、孤陽を見ればなり。若し陽無くんば、則ち二女何ぞ行を同じくせざることか之れ有らん。二陽同居すれば、其の志行を同じくするは、陰を見ざればなり。若し孤陰を見れば、則ち二男も亦た以て同居す可からず。故に曰く「一陰一陽之を道と謂ふ」と。六爻は陰陽の偏を具ふと雖も、然れども各おの一體を成す。故に嫌ひ無し。