呻吟語 / 内篇・談道・其の實を窺はずして形に眩む
天下事皆實理所為,未有無實理而有事物者也。幻家者流,無實用而以形惑人,嗚呼!不窺其實而眩於形以求理,愚矣。
新字:天下事皆実理所為,未有無実理而有事物者也。幻家者流,無実用而以形惑人,嗚呼!不窺其実而眩於形以求理,愚矣。
書き下し
天下の事は皆實理の為す所なり。未だ實理無くして事物有る者有らず。幻家者流は、實用無くして形を以て人を惑はす。嗚呼、其の實を窺はずして形に眩みて以て理を求むるは、愚なり。
現代語訳
天下の事はみな実の理がなすところです。実の理がなくて事物が存在した例はありません。幻術のたぐいは、実用がないのに形で人を惑わせます。ああ、その実を見ずに形に目を奪われて理を求めるのは、愚かなことです。
解説
実の理と形が対比されます。すべての事物は実の理から生まれるのに、幻術のたぐいは実用がないまま形だけで人を惑わせる、と。そして愚かさが名指しされます。実を見ずに形に目を奪われながら理を求めること。手品に感心して原理を探すような倒錯です。見た目の驚きと中身の有無を分ける目を求めた、短い一段になっています。
この章句が説くこと
実理形幻眩惑見極め
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