呻吟語 / 内篇・談道・吾儒の異端は似て是なり、其の害大なり
人皆知異端之害道,而不知儒者之言亦害道也。見理不明,似是而非,或騁浮詞以亂真,或執偏見以奪正,或狃目前而昧萬世之常經,或徇小道而潰天下之大防,而其聞望又足以行其學術,為天下後世人心害,良亦不細。是故,有異端之異端,有吾儒之異端。異端之異端,真非也,其害小;吾儒之異端似是也,其害大。有衛道之心者,如之何而不辨哉?
新字:人皆知異端之害道,而不知儒者之言亦害道也。見理不明,似是而非,或騁浮詞以乱真,或執偏見以奪正,或狃目前而昧万世之常経,或徇小道而潰天下之大防,而其聞望又足以行其学術,為天下後世人心害,良亦不細。是故,有異端之異端,有吾儒之異端。異端之異端,真非也,其害小;吾儒之異端似是也,其害大。有衛道之心者,如之何而不弁哉?
書き下し
人は皆異端の道を害するを知れども、儒者の言も亦た道を害するを知らず。理を見ること明らかならず、似て是に非ず。或いは浮詞を騁せて真を亂し、或いは偏見を執りて正を奪ふ。或いは目前に狃れて萬世の常經に昧く、或いは小道に徇ひて天下の大防を潰す。而して其の聞望は又以て其の學術を行ふに足り、天下後世の人心の害を為すこと、良に亦た細ならず。是の故に、異端の異端有り、吾儒の異端有り。異端の異端は、真に非なり、其の害小なり。吾儒の異端は似て是なり、其の害大なり。道を衛るの心有る者、之を如何ぞ辨ぜざらんや。
現代語訳
人はみな異端が道を害することは知っていますが、儒者の言葉もまた道を害することを知りません。理の見方が明らかでなく、似ているが正しくない。あるいは浮ついた言葉を走らせて真を乱し、あるいは偏った見方を固執して正を奪う。あるいは目先に慣れて万世の常なる経を見失い、あるいは小さな道に従って天下の大きな堤を崩す。しかもその名声はその学術を世に行わせるに足り、天下後世の人心への害はまことに小さくありません。ですから、異端の異端があり、わが儒の異端があります。異端の異端は本当に誤っているので害が小さい。わが儒の異端は正しく似ているので害が大きい。道を守る心のある者が、どうしてこれを見分けずにいられましょうか。
解説
この章句が説くこと
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